5幸村伝説殺人事件

その5

その頃、大広間ではうさぎがパニックを起こしていた。
「いやっ、もうこんな所にいるのは!帰る!」
うさぎは走って、庭へと駆け出した。
「待って、うさぎさん、危ないわ。一人で行動しちゃあ!」
しかし、さすがにうさぎというだけあって、逃げ足が速い。

そんな時「うわあー」「きゃあー」という絶叫が聞こえてきた。
みんなが庭に出て駆け寄ると、そこには服を切り裂かれ、血だらけになったうさぎと、同じような姿のお師匠さまが倒れていた。

「お師匠さま、しっかり!うさぎさん、ダメだ。もう脈がない」ひらがうめいた。
「け、獣が……」
と師匠が呻く。
「お師匠さま、ご無事か!」
「獣が、何者かが、私らを襲った……」

「ひょっとして、幸村の亡霊の仕業では?」
ナタまめが小さくつぶやき、お師匠さまから書いてもらったわらべ歌の歌詞をみんなに見せた。

青いお月さん雲の窓
かげに隠れて石を討つ
うさぎ引き裂き 耳叩き
首がなくては食えませり
首よ首、首、首どこじゃ……
首よ首、首、首どこじゃ……

「た~た~りじゃああああ!九度山村の祟りじゃあああ!」
さと吉も大声で叫んだ。
「ひえ~~~」



「うわああああーわあー」

また、絶叫が聞こえた。
あきひの声だ。

「またか!女性陣は大広間に戻れ!!ザビエル!お師匠さまを頼む!」

「はい!このひげに誓って、みんなを守ります!」
ザビエルに後を託して、ひらは、うさぎが気になりつつも、ぽっと出の絵人と一緒にトイレに駆け出した。
「私も行くぞー」
お師匠さまも、血を流しながら肩で息を切らせながら走ってきた。

「しっかりしろ、どうしたあきひー」
トイレの前では、蘭と万左衛門がドアをたたいていた。が、もう返事はない。
そして、ついに、ドアを蹴り飛ばして中を見た。
すると、そこには変わり果てたあきひの姿があった
凶器は大きな石のようだった。血しぶきが飛び散り男五人もただ後ずさりするしかなかった
「死んでいる……」
おそるおそるひらが脈を診たがだめだった。
「わけがわからん!トイレには誰も来なかったんだ!」
「急に苦しみ出したと思ったんだ。ただ、拙者たちは犯人ではござらん。信じてくれ!人間技じゃない」

「うさぎ引き裂き……耳叩き……そうだ、きっと、幸村の亡霊がいるんだ!」

その時、得体のしれない影がよぎった。
「うわあーまた、あの影だ!くそう」
お師匠さまは叫んで、道具入れからほうきを取り出し振り回した。万左衛門は恐怖のあまり駆け出した。つられてもぽっと出の絵人も明るい大広間へと駆け出していった。ひらと、蘭は、影に向かって走っていったが、影は消えてしまった。

「くそう、取り逃がしたか!ひとまずうさぎさんの所に戻ろう」

6幸村伝説殺人事件

その6

帰ってきたひらは、冷静にうさぎの体を観察した。
「一体誰がこんなことを」
ふと見ると。固く握り締めた手に紙が握り締められていた。
「こ、これは!」

ひらは握りこぶしを広げた。そこには、ティシュペーパーにサインペンで
「ツマル」と書いてあった。
「息が詰まって辛かったのか。寄せ書きのためのサインペンでこんなことを書くなんて」
蘭が涙を浮かべ、うさぎの手を握り締めようとした。

しかし、ひらは、蘭をうさぎから乱暴に引き剥がした

「これは……ダイイングメッセージに違いない!そして、亡霊の仕業なんかじゃない!」
ひらはすっくと立ち、叫んだ。


大広間では、恐怖に震える女性陣の中で、ナタまめは必死で答えを見つけ出そうとしていた。ナタまめの脳裏にはあのわらべ歌がこだましていた。

「青いお月さんは、青山。
うさぎはうさぎ。
そして耳は耳次の格好をしたあきひ
亡霊?獣?一体全体どうなってるの?」

「『そして、誰もいなくなった』ってなったりして……」
あかねがぼそりとつぶやく。

「やっぱり、関東地区でやれば良かった」

まゆみがぽつりと言った。
「でもやっぱり、今回は関西地区の開催のでしょ。ずっとオフ会は東、西の順番でやってきたのだから」

ヤスベエの声にナタまめは全身に衝撃が走った。
「じゅん……ばん……。そうよ、順番だわ!」

ナタまめはひらの元にかけよった。そしてうさぎの書いた紙をみせてもらった。

「ツマルって、これは……」
体が震えてくるのが分かった。
ひらを見つめると、ひらはこくりとうなづいた。

「みんな、庭に集まってくれ!」
みんなはぞろぞろ庭に集まって来た。
「これは幸村の亡霊でも、獣の仕業でもない!」
ひらはまた右手を突き出した。

「犯人はこの中にいる!」

読者への挑戦状・幸村伝説殺人事件

さて、犯人は誰でしょう?

ちょっと考えてみて下さい。

あんまり真剣に考えないでね。
(考えた時間返せーー)と、言われた経験ありたはは。


読んでる方いないとは思いますが(泣)
もし良かったら、コメント欄使って下さい。
名推理を待ってます。
どうぞよろしくお願いいたします♪

7幸村伝説殺人事件

その7


第三章 裸探偵ひら登場! 

「犯人はこの中にいる」

ひらの台詞に、みんなは訳も解らず、あっけにとられている。

「まず、第一の殺人。青山は密室で殺された。推理小説の世界では、密室殺人の場合、たいがい、一番『最初』に部屋の中に入った者、もしくは一番『最後』に部屋に来た者が犯人だ!」

「なにーーーーーーー」

のけぞる皆を前にひらは説明を続けた。

「そして、第二の殺人。うさぎさん殺し。これはカムフラージュだ!。同じような『怪我を負っても死ななかった者』それがが犯人だ!」

「なにーーーーーーー」

「そして、一番重要なことは、主役、ヒロインの次に出て来て、一番温厚そうな人物!それが犯人だ!」

「なにーーーーーーー」

「このすべてに当てはまるのは、『お師匠さま』あなただけだ!すべての謎の答えは、すべてあなたにつながっている!」

ひらの馬鹿げた説明を聞きつつ、お師匠さまは静かな笑みをたたえていた。
「ひらさん、あなた、サスペンスドラマの見すぎですよ」
みんなもあっけにとられていたが、その沈黙を破った人がいた。

ナタまめだった。

「青山さまの殺された部屋、確かに鍵は部屋の中に落ちていました。しかし、ひらさまが「ん?」といわれた時、変だと思いました。なぜなら、ドアの破片が鍵の下にあったからです。これは、ドアが破られた後、その上に鍵が置かれたということです。お師匠さまは一番最初にドアを破り、鍵を置き、密室に見せかけたのです」

「そんな描写なかったぞー」
「アンフェアだー」
「だいたい、登場人数多すぎるし、場所の位置関係が全然イメージできん」

「人間が書けていない」

との声が聞こえてきた。
が、ナタまめは無視した。

青いお月さん雲の窓
かげに隠れて石を討つ
うさぎ引き裂き 耳叩き
首がなくては食えませり
首よ首、首、首どこじゃ……
首よ首、首、首どこじゃ……

「このわらべ歌のせいで、青山、うさぎ、あきひの順番で殺人が起こったと私たちは勘違いしていた」
「何が勘違いだというんだ?」

「それは、本当の犯行の順番です。青山、あきひ、うさぎだったのです。うさぎさまの前に、もうあきひさまは殺されていたのです」

「でも、トイレであきひの声を聞いた時、お師匠さまもそこにいた。あきひはまだ生きていた!」

「本当にそうでしょうか?」
「ああ、二人とも、声を聞いたさ」

「しかし、それが録音されていたあきひさまの声だったとしたら?」

「何?録音だと!!」

「録音されたあきひさまの声が流れていたとしたらどうでしょうか?蘭さまと万さまが駆けつけていた時にはもう、あきひさまは死んでいたんじゃあないんですか!」
「!」
「!」
「そうすると、お師匠さまのアリバイは崩れまする」
ナタまめはうなだれた。

「そして……あきひさまと二人きりになれるチャンスがあったのはお師匠さま、あなただけです!」

ナタまめは、お師匠さまを見つめたが、彼ははあいかわず、笑みをたたえたままだった。ナタまめは続けた。

「そして、このうさぎさまのダイイングメッセージです。彼女は、ここに来てハンドルネームと顔と本名が覚えられないと嘆いていました。この『ツマル』の文字を横にして裏返しにして見てください。うさぎさまは苦しい息の下から、見たまんまを書いたんです……。」

お師匠さまの薄い髪が揺れている。

「『志村けん』に似たあなたを見て……『シムラ』と!!!」

「なにーーーーーー」

「しかし、証拠がなかろう。あなたたちのはすべて憶測にしかすぎん」
語り口調は穏やかだったが、しかし、お師匠さまの笑み不気味だった。

ナタまめは押し黙った。
しかし、またしても、ひらが大声をあげた!

「証拠はある!!」

8幸村伝説殺人事件

その8
「証拠はある!」

「なにーーーーーー」

「こういう場合、たいがい犯人は、証拠を捨てていない!あなたのその着物の懐には、トリックに使ったカセットテープがあるはずだーー。持ってないというなら、わしのように裸になって見ろ~~~~」

ひらは、浴衣を脱ぎ捨てた。
またしても真っ裸だ。

「ふふふふふ……」

お師匠さまの温厚な顔が月夜に照らされて、獣に変わったように感じられた。

「よくぞ、見破ったな、ひら。そして、ナタまめ……。道具入れに隠してあったこのテープ、怪しい影を追い払う時に回収できたまでは良かったのだがな……」

お師匠さまはテープを懐から取り出した。

「お師匠さま、でもなぜ?なぜ、こんな惨いことを……」
ナタまめが涙混じりに聞いた。

「これを、見てくれ!」
お師匠さまは一枚の写真を取り出した。
「青山が、宴会の時、私の大事な青姫の写真を油性マジックでこんなふうに、してしまったのだーーー!」

と、写真をみんなの方に突き出した。

そこには無残にも鼻ひげやあごひげを書かれ、あのフランシスコ・ザビエルと成り果ててしまったた樋口可南子がいた。

「許せなかった。気づいた時には、青山さんは死んでいた。そして、それをあきひに見られてしまった。私はあの『わらべ歌』を利用して、殺人を隠そうとした。幸村の亡霊のしわざにしてな。そのために、うさぎさんまで殺してしまった……。彼女は全然関係ないのに……」

お師匠さまはがっくりと膝をついた。

「人の一生とは屁のようなものだ。いままでの夢のように楽しかった時間が、一瞬で崩壊してしまう。ついさっきまで、初夏の風に身を委ねていたのに、今の私は、真っ赤な血の悪夢の中にいる。
しかし、戦国の武将たちは戦の中で何を思い浮かべていたのか解ったような気がする。自分の身を守るため、人の命を奪い取る。そうしなければ自分が生きていけないのだーーー」

「お師匠さま、言いたいことはそれだけか!鼻ひげ書かれたぐらいで人を殺すとは許せん!このくされ外道め!」

「そうだ。私は人の道を踏み外してしまった。私は、私は、もう人ではない。うおおおおおー」

お師匠さまはみなの前から、狂ったように駆け出した。

「待てー、逃がすか!」
ひらがお師匠さまを追いかける。
二人はついさっきまで吊り橋がかかっていた深い谷までやってきた。

「お師匠さま、わしは許さん!」
「そう私は人ではない!私は、私は……獣だーー」

お師匠さまとひらはとっくみあい、泥の上をぐるぐると、ころがりまわった。いつしかお師匠さまの浴衣もはだけて裸になってしまった。すさまじく醜悪な光景だ。

「うわあーーーーーーーーー」

二人は谷底へと転げ落ちそうになった。
しかし、ひらは右手でかろうじて木の枝をつかんで、ぶら下がった。そして、左手で落ちそうになっているお師匠さまの手をつかまえた。

「お師匠さま、くっ!」

怒りに身をまかせていたひらだったが、今は、お師匠さまをひきあげようとしていた。しかし、枝がみしっと折れそうになり、二人の体が谷へと一段と前に出た。

「このままでは二人とも落ちてしまう。風神の門のBBSを頼みます。私の大事なシナリオをコピーしていたあなたなら、きっと私の意思を受け継いでくれますよね」

「お師匠さま何を言う!ここで死なれてはみなが浮かばれん。生きて、つぐないをするんだーーー」

「ひらよ。私はお前を弟のように思っていた。さらばだ!」

お師匠さまは自ら、手を離した。

「うわああーーーーーーー」
お師匠さまは深い谷底へ落ちていった。
「お、お師匠さまーーーいやああああーーーー」
駆けつけたナタまめの叫びが山にこだました。


ひらは崖から上にあがると、悲しみに暮れるナタまめの肩をそっと抱いた。寄り添う二人を遅れて来たみんなが見守っていた。

「ナタまめよ、思いっきり泣くがよい。わしがその悲しみをすべて受け入れてやろう。このいまいましい事件もこれですべて終わった。あとは残されたもので、BBSを盛り上げようではないか。それが、わしらの努めだ!」

「ひらさま」
胸に飛び込むナタまめをひらはいっそうきつく抱きしめた。
満月の明かりが二人を照らし、九度山の夜はふけていった。
プロフィール

ひらたま@でんぷん

Author:ひらたま@でんぷん
山口県在住 
女性(若くないです)
O型、蠍座
八丁堀の七人と、子連れ狼の大五郎が好き

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