2幸村伝説殺人事件

その二

他の観光客は、異様な光景の中年集団 を、いぶかしそうな目で見つつ去っていった。日暮れになり、一行は、お師匠さまの別荘へと向かうことになった。お師匠さまのマイクロバスに乗ると『時間差』がエンドレスで流れ出し、みんな大声で歌った。遠い道のりだった。バスから降りると深い谷に一本の吊り橋が架かっていた。
「あそこです。古い旅館を買い取ったのですよ」
お師匠さまは橋の向こうを指差すと、一軒のひなびた建物が見えた。皆はるんるん気分で橋を渡り別荘へ向かった。

「温泉もありますよ」とお師匠さまが言った。
「よ~し。温泉じゃ~」とひらが叫ぶと「おー」と万左衛門もそれに答えた。二人はすっかり意気投合している様子だ。
「ふ~温泉は露天が最高!」と、男性陣が、どぼんと飛び込んだ。
「でも、風神はやっぱり混浴じゃないと」
ぽっと出がぽそっと言った。
「さああああ『行水』というか、混浴よーーーーーー」とさと吉の声が聞こえ、向こうから女性陣がタオルを巻いてやってきた。
「わ~~お~~混浴最高!」みんなで酒池肉林の大騒ぎだ。
ひらと万の『ふるぴんショー』もばかうけだ。混浴タイムは興奮のるつぼで、宴会へとなだれ込んだ。もう、何がなんだか、誰が誰だか分からなくなっていた。
大広間ではどんちゃん騒ぎがはじまった。

うさぎはおろおろしていた。

「あっ、あきひさん、ちょっと教えて欲しいんだけど」
「ごめん、なんだか、お腹の調子悪いねん、トイレ行ってくる。ちょっと待ってて」
慌ててトイレにかけこむあきひを見送るうさぎに、女性陣がよってきた。
「あらあら、万さまのお株、あきひさんに移ったかな?」ヤスベエは笑った。

「あ、あのすみません、あの人がお師匠さまですか?」
小さく指差しながらうさぎが聞いた。

「いいえ、あの人は蘭さまよ」
ヤスベエがちょっと頬を染めながら答えた。
「ハンドルネームとお顔、それに、本名。ごちゃちゃで覚えられなくて。せっかくだからと色紙に寄せ書きしてもらおうと思ってるんですけど」
「うさぎさん、音羽です。私も新人だし、同じようなものよ。仲良くしてね」
紅葉やあかねもそばによってきた。
「いいって、そんなの。私なんか、蘭さまを女性って思ってたし」
「私は、蘭さまとザビエルさま間違えてたよ」
「で、青山さまってどの人でしたっけ?」
「青山さまは?あれ?いないね。たぶんトイレでしょ」
「じゃじゃじゃあん!誰が誰ってわからなくてもいいよ~ん。でも、わしがひらだよ~ん」

素っ裸で近づいてきたひらから逃げるように、うさぎはまゆみや、さと吉に薦められるままに飲みだした。飲み比べでは、紅葉が一番はじめにダウンして、大広間でぐーぐー眠り出した。続いてまゆみも疲れがでたのか眠りに落ちた。

そんな時、遠くでドーンと雷鳴のような音が聞こえた。
「なんだろう」
ナタまめの気持ちに一瞬不安がよぎったがすぐに忘れてしまった。
プロフィール

ひらたま@でんぷん

Author:ひらたま@でんぷん
山口県在住 
女性(若くないです)
O型、蠍座
八丁堀の七人と、子連れ狼の大五郎が好き

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