1裸探偵ひら 幸村伝説殺人事件

裸探偵ひら 「幸村伝説殺人事件」 ひら&青山(ひらたま)



プロローグ

九度山真田庵。ここに奇妙な伝説がある。
安居天神の地で朽ち果てた真田幸村の魂が、ここに舞い戻り
満月の夜に獣のような雄たけびを上げると言う。

いつしかそれは、わらべ歌となって現在に残っている

青いお月さん雲の窓
かげに隠れて石を討つ
うさぎ引き裂き 耳叩き
首がなくては食えませり
首よ首、首、首どこじゃ……
首よ首、首、首どこじゃ……


その九度山でこんな恐ろしいことが起きるとは!
じゃじゃ~~~ん
世にも奇妙な難事件に挑む、みかけはあほだが、頭脳は天才 その名も

『裸探偵ひら』~幸村伝説殺人事件~

その1

第一章九度山オフ会

「遅刻だ!」
お国のコスプレをしたナタまめは、九度山駅を出ると急いで坂道を登って行った。

「今回のオフ会は全員集合だから、ひらさまに会えるわ!楽しみ」
ナタまめは動悸が、坂道のせいだけではないと感じていた。

ここ和歌山県九度山真田庵では、NHK水曜時代劇「風神の門」BBSの初の『全国オフ会』が、開かれることになったのだ。宿はお師匠さまの温泉付き別荘を貸切って宴会らしい。みんなコスプレ、手作りの登場人物の衣装を着て集っているのが見えた。昭和55年放送のテレビドラマが好きな連中が勢ぞろいしている。

小説家のひら(関西在住) 
語り部のお師匠さま(関西) 
作詞家のあきひ(関西) 
作曲家のあかね(関東)
下(ネタが好きな)の万左衛門(関東)  
追っかけのまゆみ(関東) 
アナウンサーの紅葉(関東)  
殺陣師の蘭(関東) 
評論家のヤスベエ(関東) 
画家のぽっと出の絵人(関東) 
ヤフーのうさぎ(関西) 
女優のさと吉(関東) 
宣教師のザビエル(関東)  
プロレスラーの音羽(関東) 
編集の青山(関西)

総勢16名の風神オタクが集まることになった。

「ひらさま」
ナタまめは、真っ先に才蔵に扮したひらに駆けよった。
「お、ナタまめさま。会いたかったでござる」
「私もです」
この風神の門オタクたちは掲示板では、皆、様づけで呼びあっていた。

「ナタまめさま、確か、あなたは、筆とペンを使い、そして、ときおり腕やら足にひっついて困る『アレ』を駆使するお仕事でしたよね。『アレ』とは飯粒つまりはそれで作った糊のこと。そして『出張』とくればあなたのお仕事は『襖職人』でしょ。襖絵を描き、張り、そしてお宅での襖の設置。大変な仕事ですね」
「ち、ちがいます」という間もなくひらは去っていく。
「へ、変な人!」

ナタまめは、早々に気持ちが萎れるのを感じたが、お師匠さまを見つけ、話しかけた。
「お師匠さま、お会いしたいと思っておりまいた」

管理人が不在のBBS掲示板で、このお師匠さまは、作品の語り部として大きな功績を残していた。
ドラマのあらすじを書き起こしていたのだった。

言葉遊びが巧みで、年長組である彼は、みなから慕われている存在だった。

お師匠さまの見た目は、少々、髪の毛は淋しい方と感じたが、思ったとおり、彼は瞳の優しい人物だった。二人の話題はいつしか歴史の話になっていった。聞いているだけで癒されてくるそんな落ち着いた声と話ぶりだ。

「人生とは。夢とは。この真田庵に座っていると、しみじみそんなことばかり考えます。幸村もここで茶を飲みつつ、自分の力を試してみたいと思っていたのでしょうな。そうそうナタまめさん、こんな歌があるんですよ」

お師匠さまは静かにわらべ歌を歌い出した。

青いお月さん雲の窓
かげに隠れて石を討つ
うさぎ引き裂き 耳叩き
首がなくては食えませり
首よ首、首、首どこじゃ……
首よ首、首、首どこじゃ……

「さぞかし、無念でしたことでしょうな」ナタまめも目をつぶり幸村を想像した。
「あ、ナタまめさん、いいものを見せてあげましょう」
お師匠さまはうれしそうに樋口可南子の生写真を見せた。彼女は風神の門では青子というお姫様を演じていた。

「美しいでしょう。私の宝物なんですよ」
「お師匠さま、素敵ですね」

お師匠さまの話は尽きることがなかった。心地よい初夏の風が二人の間を通り過ぎる。
他のメンバーも、恥ずかしいと言いつつ、みんな喜んでなりきり遊びを楽しんでいる。中でも、耳次に扮したあきひは早々にぼけをかまし、おゆき役の音羽につっこまれ、皆の笑いを誘っていた。
プロフィール

ひらたま@でんぷん

Author:ひらたま@でんぷん
山口県在住 
女性(若くないです)
O型、蠍座
八丁堀の七人と、子連れ狼の大五郎が好き

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