14狙われた看板娘

14狙われた看板娘

翌日のことである。

奉行所へ行く途中、八兵衛は、ふと青山の屋敷を覗いた。そこには、大五郎がいた。

「おや、大五郎、手習いかい?」
「あ、大五郎様って呼ばなきゃ、いけないな」
その子、大五郎は天涯孤独となったところを青山が養子にしたのだった。※(拙作・「凧、凧、あがれ!」参照)

大五郎は、八兵衛の顔を見ると、にこりと微笑んだ。しかし、背筋をのばしたままで、すぐさま、半紙に目を向けた。習字に夢中のようである。

「ちょっと、見せてもらおうかなぁ」
八は、その手習いの字を見た。

その文字は『はる』と書かれていた。

八兵衛は、その字を見てほほえましく思った。
「おお、なかなか、力強い字じゃないか。でも、大五郎、この『は』って言う字だけどなぁ。ちょっと、左と右が離れてるんじゃないか?もうちょっとだな、近づけて書かないと、別々の文字みたいにみえる……『し』と、『よ』に見えちゃうよ……」

八兵衛はそこまで言ってはたと気づいた。
「だ、大五郎、またな!」
八兵衛は、「様」をつけるのも忘れて、奉行所へと駆け出した。

「孫さん、お雪が書いた、あの紙を出してくれ!」
「ああ、お雪が残した『しおり』という文字が書かれてあった紙ですね」
孫右衛門は、文書棚から、すぐ紙を取り出してきた。

八兵衛は、その文字を眺めた。

「こ、これは、『しおり』じゃない。たぶん、『はい』だ。」

テーマ : 時代劇
ジャンル : テレビ・ラジオ

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ひらたま@でんぷん

Author:ひらたま@でんぷん
山口県在住 
女性(若くないです)
O型、蠍座
八丁堀の七人と、子連れ狼の大五郎が好き

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