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生存編3 八丁堀の七人

千代田のお城の奥の奥

青山様と上様双子の兄弟編



門は開いた。

七人は、上様の前で平伏していた。
「苦しゅうない、皆のもの面をあげぃ」

その声になぜか聞き覚えのある感覚に襲われながらも、おそるおそる顔をあげる七人だったが、源吾と磯貝が絶叫した。

「そ、その声、そのお顔!」
「えーーー、青山様、青山様が二人」
兵助と一郎太は、二人をとりなそうとするが、手だけが宙を舞う。
その口が開いたまま、上様の顔に見入る。

八兵衛も絶句したまま、上様と青山の顔を見比べ、一言小さな声でつぶやいた。
「そっくりだ」


ただ一人、青山だけが冷静だった。

「北町奉行所与力、青山久蔵にございます。上様におかれましては、此度の事件のことで」

「久蔵、みなまで言うな。直訴は死罪。そなたの言うことは聞かぬ」

「いいえ、言わせていただきます」

「黙れ、久蔵。余は、そなたとそなたの部下を死なせたくないのだ。それに、もう、余は知っておる。今宵のことは、余とあったことは、すべてて忘れるのだ!しかし、余は、江戸の町を好き勝手にはさせん」

青山は憮然とした顔で上様をみつめていたが、最後の言葉にしっかりとうなづいた。

上様は、なぜか、笑みを浮かべた。

「久蔵、この間の、そなたとの入れ替わり、まことに楽しかった」

「い、入れ替わり~~」

今度は、青山以外の全員が絶叫した。
「い、いつ、どこでぇ~~~」
磯貝は、また素っ頓狂な声をあげ、気を失って倒れた。

上様はそれだけ言うと部屋を出ていった。七人たちは、狐につままれたように、城を後にした。もちろん、気絶した磯貝を背負って。




八兵衛は、いつものように、青山の隣で話ながら帰路についた。

「今、わかりました。なぜ、青山様が、数々の危機を乗り越えてきたのかが。上様の後ろ立てがあったんですね。それにしても、そっくりだ。青山さま、上様とは一体、どんな関係」

青山は八兵衛の言葉をさえぎった。

「さぁな。他人の空似だぁ」
「それにしても、若年寄の戸田様は、上様のおそば近くにいながら、青山様と似ていることに気がつかなかったのでしょうか?」
「俺の顔なんざ、よくある顔だぁ」
「え?そうですか?そのでっかい顔と、でかい体、そうそう、あるもんじゃないですよ!」
「そんなことより、八、おめぇには、まだ、大ぇ事な、仕事が残ってんじゃないのかい?」
「仕事?」
「弥生堂だよ」
「や、やよいさん……」

八兵衛の脳裏には、「これは、仏田弥生になるための三々九度ですからね」と涙でうるんだ目でみつめた弥生の顔が浮かんだ。
「あ、青山様、し、失礼します」




八兵衛は、走りに走った。そして、倒れる込むように屋敷に駆け込んだ。

「は、八兵衛さん、ぶ、無事だったの?い、いえ、そんなことはないわよね。お沙汰はいつ下るの?……」

「弥生さん、無事だよ。う、上様には、あ、会えなかったんだ」
八兵衛は、言葉を濁した。

「それより、弥生さん!、いまさっき言った言葉を撤回してくれ!」
「ええ?何?まさか仏田弥生になるって言葉を撤回してくれってこと?」
「ああ、そうだ」
「え?そ、そんなやっぱり、私じゃだめなんだ」
「いや、違うんだ」
「ああ、そうだとか、違うとか、なんなのよー」
弥生はむくれた。

「違うんだ。男の俺から言いたいんだ。言うよ。この間、火事のときにいえなかった言葉を言うよ」

「八兵衛さん……」
弥生は、また、うるんだ瞳で八兵衛をみつめた。

「弥生さん、俺と、いえ、私と所帯をもってくれ!私と一緒になってくれ!仏田弥生になってくれ!」

「八兵衛さん、うれしい」
弥生は、八兵衛に抱きついた。

「俺が、先に言いたかったんだ。弥生さんの女の口から言わせてすまない」
八兵衛が、弥生を抱きしめながらつぶやいた。

弥生は、八兵衛の腕を離した。
「え?それって、何?女が先に言っちゃいけないってこと?それって、変だわ。男とか、女とかは関係ないと思うけど。ひどいわ、八兵衛さん!夫婦になるのは、やっぱり考え直した方がいいかしらね」

「や、弥生さん!」
八兵衛は、おろおろしながら、腹を立てた弥生をなだめようとした。


「あっら~~、もう、夫婦ケンカ~~」

そういいながら、源吾が顔を覗かせた。
一郎太も顔をにやつかせている。
兵助は、ちょっとむくれながら見つめている。

磯貝はお袖までを一緒つれて覗きに来ていた。
「八兵衛、祝言の日にちは、早く決めてくれよ。なにぶん、物入りで金がねえんだ。祝儀の用意しなくちゃならねえからな」
「まぁた~、そんなけちなこと言っちゃってぇ~」
源吾が茶化す。


青山は、酒瓶を片手に、月を見ていた。
「さぁて、月見酒、月見酒と……」


千代田のお城の奥の奥2終わり

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ひらたま@でんぷん

Author:ひらたま@でんぷん
山口県在住 
女性(若くないです)
O型、蠍座
八丁堀の七人と、子連れ狼の大五郎が好き

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