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その四 少年と盗賊 

八丁堀の七人 少年と盗賊

その四

一郎太は、団子屋に戻り、盗まれた団子代金を払っていた。
老婆の店主は毒づいた。
「旦那、逃げられたんだ。だらしがないねえ」
「すまぬ」
「旦那、謝るよりも、つかまえておくれよ。あれは、ろくなもんにはなりゃしないよ。まあ、旦那が金払ってくれたからいいけど、でもねえ」
「改心させるので、どうか許してやってくれ」
老店主の言葉をさえぎり、一郎太は、黙って頭を下げるだけだった。


少年、亀吉は、団子を弟、鶴吉から受け取った。
二人は兄弟であった。
亀吉は、走りながら、一郎太から見えないところで、団子を鶴吉に渡していたのだった。

亀吉はすぐに食べ終わってしまったが、鶴吉は団子を落としてしまった。
団子はころころと、転がり、団子は泥だらけになってしまった。
「あーん」
鶴吉は激しく泣いた。兄はなすすべもなかった。

その団子を拾ったのは、芥子頭の男の子だった。その子は、その先で泣いてる子をみると、すぐに駆け出した。

青山大五郎。
大五郎は、拝一刀の一子だが、縁あって青山の養子になっていた。

大五郎の手元にも、団子があった。
青山の本当の息子、市之丞に買ってもらったものだった。
「おーい、大五郎!」
市之丞の呼ぶ声も聞こえないようにすっ飛んでいった。

大五郎は、泥だらけの団子を鶴吉に差し出したが、鶴吉は、首を振ってますます泣くばかりであった。

「はい!」
大五郎は、代わりに自分の団子を差し出した。
「いいの?」
鶴吉は、兄が止める間もなくかぶりついた。

「美味しい!」
亀吉は、戸惑いながらも頭を下げた。
「あ、ありがとう。ごめんな、お前のもらって」

言いよどむ兄に、大五郎は、にこりと笑った。
そして、泥だらけの団子を、自分の着物で器用に払い、口に入れたのだった。

「え?!」
驚いた二人に、大五郎はまた笑顔を見せた。

「大五郎!何してんだ?」
市之丞の呼び声に今度は、はじかれたように戻っていった。市之丞と手をつなぎながら、大五郎は、二人を振り返って手を振り、去って行った。

「あの子たちも兄弟なのかな?」
鶴吉も、亀吉の手を握った。その言葉に、兄は「さあ」と、答えるしかなかった。

亀吉は、大五郎を見送りながら、つぶやいた。

「今日は、本当に変な奴と出会うな」

小説 八丁堀の七人
プロフィール

ひらたま@でんぷん

Author:ひらたま@でんぷん
山口県在住 
女性(若くないです)
O型、蠍座
八丁堀の七人と、子連れ狼の大五郎が好き

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