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その十二 少年と盗賊

八丁堀の七人 少年と盗賊

その十二
 
「こいつら、昼間、様子を伺っていた奴らですよ。お頭」

「お前ら、どこまで聞いた」
お頭は、亀吉に問うた。

「寝てた。な、何も聞いてない」
と、亀吉は、ごまかそうとしたが、
「与力の青山久蔵!大したことないな」
と、鶴吉がお頭や子分たちのまねをして、無邪気に叫んだ。

「全部聞いてるじゃねえか!」
子分が大きな声を出し、殺気だった。

「ばか!鶴吉」
亀吉は、焦った。

お頭は、そんな亀吉をからかうように、小判をもてあそんだ。
「綺麗だろう」

「お頭、早くこいつら、ばらしてしまいましょうや」
子分たちは、みな、懐から小刀を出した。

「まあ、待て。大仕事の前だ。後あと面倒なことは、ゆっくりとやろうじゃないか。鶴吉とやら、こっちへおいで」

鶴吉もようやく、事態の恐ろしさに気づいた。泣き虫の鶴吉だったが、泣くのも忘れるほど、顔色をなくしていた。

亀吉は、後ろ手に鶴吉を庇った。
が、お頭の大きな腕が、鶴吉の襟首を掴んだ。

「おお、いいことを思いついたぞ。俺達の次の獲物を確実にしとめる策をな」
お頭は、不気味に笑う。

「お前はひとりここを出るんだ。そして、盗人が池田屋を襲う。と、言うんだ。隠れて聞いていたと、言うんだ。八丁堀たちの守りを池田屋に回させるんだ」

……言ってたのと違う!こいつら、おいらに嘘をつかせて、北町の、一郎太さんたちを騙そうとしてる!

「おいらの言うことなんか、誰も聞いちゃくれないさ」

「信じさせるんだ。それができないときは、鶴吉とは、もう会えないぜ」

「鶴吉を返せ!」
亀吉は、勇気を振り絞って大声を出した。だが、そんな声も盗賊たちには届かない。

「ああ、そうだ。もうひとつ、上物の獲物がいたなあ」

節をつけて歌うように言ってから、お頭は、舌をなめた。

「お前、あの青山の息子と、知り合いだよな」

「し、知らない。だ、誰だ。そんなやつ」

「鶴吉より、あの大五郎の方が俺達には、価値がある。大五郎をここに連れてくるんだ。そしたら、鶴吉と交換してやろう。そして、おまえは、すべて忘れる。褒美にこれをやろう」

お頭は、小判をちらつかせた。
「綺麗だろう。これだけあれば、何でも出来るぞ」

亀吉の喉の奥が、ぐっ、と音をたてた。

「お頭!そんなガキに」
子分たちは、戸惑いの声をあげたが、お頭は、面白がった。


亀吉は、腹をくくり、落ち着いた声で言った。

「わかった。おいらは、北町の同心たちをだます。大五郎をかどわかす。そしてお前たちのことも、何もかも忘れる。誰にも何も言わない。それが、おいらの仕事。そして、その仕事に対する稼ぎが、その一枚だ」

「あははは、これは、見ものだ。大一番だな」

亀吉は、冷たい表情で小判を見つめていた。

小説 八丁堀の七人12
プロフィール

ひらたま@でんぷん

Author:ひらたま@でんぷん
山口県在住 
女性(若くないです)
O型、蠍座
八丁堀の七人と、子連れ狼の大五郎が好き

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