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その十三 少年と盗賊

八丁堀の七人 少年と盗賊

その十三

凍えるまちの夜が明けた。
亀吉は、北町奉行所の前で同心たちを待った。

磯貝総十郎が、鶴吉を見咎めた。
「おい、何してる。奉行所に何か用事か?」

「は、はい!」

亀吉は、勢いこんで、何度も練習したその言葉を言った。

「北町のお侍さん、おいら、盗賊の悪巧みを聞きました。町外れのお堂で、隠れて寝ていたら、今夜池田の蔵を狙うって言ってたんです。おいらは、ずっと見つからないように、隠れてて、朝、一番でここに来ました。凄い人数でした。10人から15人ぐらいいました。」

磯貝は、半信半疑で、聞いていたが、亀吉の身なりを遠慮のない視線で見つめた。そして、この前の自分のしくじりを思いだした。

「どうせ、褒美目当ての作り話しだろう。帰った、帰った」

押し問答のそこに、松井兵助も、やってきた。
亀吉は、また同じ話をした。
「信じてください!お願いします」
兵助は、
「磯貝さん、この子のいうことは、本当のような気がします。手がかりがない今
は、どんなことでも、当たらなければなりません」
と、詰め寄った。

「どんなもんだか」
と、総十郎は渋った。

そこへ、一郎太も到着した。
一郎太は、文句ひとつつけずに、亀吉の言葉を信じた。

「磯貝さん、今夜は、池田屋に、北町の全勢力をつぎ込みましょう!さあ、青山様に、審議してもらいましょう!」

一郎太は、頬を紅潮させ、亀吉の肩を掴んだ。
「亀吉、大手柄だ。あとは、俺達に任せろ!あ、あ、でも、怖かったろう。よく、知らせてくれたな。ありがとう。れいを言うよ」

一郎太は、頭を下げた。

「あと、大五郎……、様は、いますか?
また、遊びたいんです」

「大五郎、さ、ま?」
一郎太が、問いただした。
「亀吉、大五郎様のこと、知ってるのか?」
「大五郎さまと、遊びたいんです。どこにいますか?あ、褒美なら、大五郎さまと、遊ばせてくれたら、それでいいです」

また、総十郎が、胡散臭そうに顔をしかめだした。

「ああ、また、お前かよ。大五郎様。って言い方だけは、直ったな。でも、性懲りもなく、遊びたいだなんて、帰った帰った」

その源吾の言葉が、返って亀吉の言葉に真実味を加えた。

「ふむ、ここは、一郎太に免じて、亀吉の言葉、信じてみよう。大五郎なら屋敷にいるはずだ。行ってみな」

総十郎の言葉に、亀吉はくるりときびすを返した。
一郎太の顔をみるのが辛かった。
が、鶴吉を救いたい。その一心だけだった。


小説 八丁堀の七人13
プロフィール

ひらたま@でんぷん

Author:ひらたま@でんぷん
山口県在住 
女性(若くないです)
O型、蠍座
八丁堀の七人と、子連れ狼の大五郎が好き

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