その十四 少年と盗賊

八丁堀の七人 少年と盗賊

その十四

「しまった、こりゃあ、間に合わねえかも。遅刻だ!うっかりだ。これは、本当に、うっかり八兵衛だ」
八兵衛は、連夜の見廻りで、寝過ごしてしまったのだ。
「若い頃なら、何日も徹夜したって平気だったのに。遅刻なんてしたことない私が、なんてこった!私も歳かな。ああ、ただでさえいらいらしてる青山様が、お怒りになる顔がみえよ。ひー。」

ひとりごとを言いながら走る八兵衛の前に、大五郎を連れて亀吉が現れた。

「おや、お前は、たしか、亀吉だったな。大五郎と遊ぶのかい?けんかせずに。仲良くするんだぞ」

亀吉は、「はい!」と、元気よく、答えた。そして、大五郎の手をぎゅっと、握りしめた。
「亀吉、そういや、小さい方はどうした?弟の鶴吉だったっけ」 

亀吉は、ぎくりとした。

「ま、待ってるんです。あ、遊ぶとこで。つ、釣りしようと、思ってるから。鶴吉は池で待ってるんだ」

盗賊のことは、流暢に話せた亀吉だったが、鶴吉のことは問われると思いもしなかったのだ。
 
大五郎は、嬉しそうに、手をつながれていた。
「鶴吉が、待ってるので」
と、その手を引っ張った。

「え?釣りに行くの?あ!忘れた!」
と、大五郎がその手を振り切って、屋敷へと戻り駆け出した。
「だ、大五郎!待って」

「おい!気をつけてな。ああ、急がなければ!」
八兵衛は、二人と別れ、奉行所へと急いだ。

小説 八丁堀の七人14
プロフィール

ひらたま@でんぷん

Author:ひらたま@でんぷん
山口県在住 
女性(若くないです)
O型、蠍座
八丁堀の七人と、子連れ狼の大五郎が好き

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