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その十五 少年と盗賊

八丁堀の七人 少年と盗賊

その十五

「釣竿!忘れた!」
大五郎は、釣竿を取りに戻った。
この間、一緒に遊んだときのものである。

みるとはなしに、縁側から覗いた亀吉は、驚いた。釣竿が、青山の刀掛けの傍らに大事そうに置いてある。単なるみすぼらしい棒切れが、大事な場所に、飾るように鎮座していた。

置いた大五郎にも、それを許した青山にも亀吉は、心が熱くなった。

「大五郎、お前……」

座敷をふとみると、手習いをしていたはずの書きかけの半紙に、三人の男の子が釣りをしていた絵がかかれてあった。

あの日は、大五郎もかけがえのない日だったのだ。
そして、その絵には、たくさん捕れた魚よりも、鶴吉や亀吉の顔が何枚もかかれてあった。

「大五郎、おいらは、おいらは……だけど、鶴吉を、取り返したいんだ。大五郎、許して。許して」

釣竿を握りしめた大五郎であったが、亀吉の涙に気づいて、立ち尽くした。

「来るんだ、大五郎!」
亀吉は、大五郎の手を強く掴んだ。
大五郎は、逆らうことなく、引きずられていった。

庭には、釣竿の棒切れだけが、残されていた。


小説 八丁堀の七人15





プロフィール

ひらたま@でんぷん

Author:ひらたま@でんぷん
山口県在住 
女性(若くないです)
O型、蠍座
八丁堀の七人と、子連れ狼の大五郎が好き

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