その三 兵助、怒りの鉄拳!

その三

同心部屋には、磯貝総十郎、吉岡源吾、花田孫右衛門の3名が二人の帰りを待っていた。

勇んで聞き込みに行った兵助と、一郎太ではあった。しかし、うつむいて冴えない顔色の二人から、手がかりが何もないことは、三人には簡単に察しがついた。

磯貝が、いちばんに大声をあげた。

「7年も行方知れずになっていたんだろう。一体、何をして暮らしてたのかね。ろくなもん食ってなかったんじゃないのか?ふらついて、足でも滑らせて河原の石にでも頭ぶつけたってのが相場じゃないか?体のあちこちに青あざがあったっていうしな。」

思いやりのない言葉に兵助の目が険しくなった。
その目をみて、吉岡源吾が、磯貝の袂をひっぱった。
「磯貝さん、誠之助は兵助の叔父ですよ」

「ああ、そうだったな。だけど、7年もの間行方不明だったっていうじゃねえか、便りもよこさず、どういう了見だったんだ。そんな男、碌な男じゃないんじゃないか」

「磯貝さん、それはいくらなんでも言い過ぎです。叔父上は、とても律儀で立派な人でした」
「だから、だったら、そんな立派なお方がだな。なぜ、行方をくらますようなまねをしたんだ?」

険悪になりそうな二人を押しとどめるように、孫右衛門が、静かに口をはさんだ。

「その傷のことなんですが、ぶつけた傷にしては、私自身、何か違う気がしましたよ……。今、弥生先生が検分してくれてるそうです。じきに、八兵衛さんが、弥生先生の見立てを聞いて駆けつけてきてくれるでしょう」

「転んでできた傷じゃないとしたら、一体どういうことなんでしょう」
一郎太が頭をかしげた。
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ひらたま@でんぷん

Author:ひらたま@でんぷん
山口県在住 
女性(若くないです)
O型、蠍座
八丁堀の七人と、子連れ狼の大五郎が好き

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