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その十一 兵助、怒りの鉄拳!

その十一

源吾と孫右衛門は、研ぎ師の探索にあたっていた。
しかし、こちらも、らちがあかない。
聞き込みの道すがら、二人は、頭を抱えていた。

「もうどこに言っても『知らない、わかりません』ばっかりだよう」
「がんばりましょう。源吾さん。私たちは、探すしかないんですから」
「孫さん、おれは、もうくたくたんなんだよ」
源吾はいつものように弱音を吐いた。
孫衛右門も同意してくれるかと思いきや、そうではなかった。

「もう一度でも、二度でもあたるしかないんですよ!」
優しい物言いの孫右衛門が大声をあげたのだ。
源吾には、孫右衛門の顔が、なぜか、青山の顔に重なった。

実は、この孫右衛門、今でこそ、子沢山の妻思い。どちらかというと、内職にはげみ、任務には熱心ではない同心である。
しかし、その昔は、剃刀孫右衛門と言われ、仕事の鬼だったのだ。

孫右衛門は、うつむく源吾を置いて、先へと歩き出した。
「わ、わかったよ。おれも行くよ、待って、待って」


三度目の研ぎ屋で、出てくる侍と孫右衛門は、ぶつかってしまった。
孫右衛門は、すぐさま謝ったが、侍は、無言ですばやく立ち去った。

その様子を、通りがかった兵助と八兵衛が、見ていた。
「あれは、確か……」
「なんだい、兵助、どうかしたか?」


「あれ、あれ、また旦那ですか?」
研ぎ師の蓑吉は、源吾の顔を見て、うんざりしたような顔をした。

しかし、店にすごい勢いで飛び込んできた兵助が、「今の侍、佐川玄之進だな!」と聞いた途端、蓑吉の表情が変わった。

「佐川玄之進とかいう奴のこと、詳しく、教えてくれないかい。頼むよう。悪いようにはしないよう。いい知らせには、奉行所からほうびも出るんだよ。頼むよ……」
源吾も懇願した。しかし、蓑吉は、黙りこんだ。

源吾の態度が、急変した。
「おい、人が何人も死んでるんだよ!まだ、だんまりを続けるんなら、番屋にしょっぴくぜ!源吾さまのお仕置きは、閻魔さまでも悲鳴があがる仕置きだぜ!」

蓑吉は、震え上がった。そして、今の侍が、玄之進であることを認めた。
前の夜鷹殺しの時も刀を持ちこんだこと、金をもらって口止めされていたことを、白状したのだった。

「よし、よし、牢屋に行かないですんで、良かったな。俺が、褒美をもらってきてやるからな。安心しな」
と源吾は言った。


しかし、そこへ、青山が現れた。
「いや、奉行所に来てもらおうか、そして、二、三日、牢屋に入っててもらおう」

「あ、青山様、その必要はないと思います。今、私が、せっかく、落としたんですよ。落としたばっかりなのにぃ」
「そうですよ青山様」
源吾とともに、八兵衛も孫右衛門も、食い下がった。

「いいや、入っててもらうぜ。ほら、兵助、連れていけ」

青山は、同心たちにきつく言い渡すのだった。
プロフィール

ひらたま@でんぷん

Author:ひらたま@でんぷん
山口県在住 
女性(若くないです)
O型、蠍座
八丁堀の七人と、子連れ狼の大五郎が好き

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