チョコパン焼いた

pann201301224.jpg

チョコチップ入りパン。
マーブルなかんじになりました♪ふむふむ。
チョコチップもお高いので(笑)次回は、板チョコを刻んでいれることにします。

恐ろしい自治会婦人部長

夜行観覧車、第二回をみました。
yakoukanrann.jpg
第一回は見逃してて、あんまり内容がわからないままですが。
感想を。役名とごっちゃで書きますがお許しを

もう、『おそろしい』の一言。

いやぁ、夏木マリさん演じる自治会婦人部の部長が怖い~~

いじめっぷりが、お見事。イジメ内容も怖いですが。いちばん、怖いのはお顔。
顔が、怖え~~。
目力、迫力です。ひぃ~~~~。

いじめにあってる鈴木京香さんですが、また、学校では、娘もいじめられてるようで。
そのシーンも、みるのがやるせなくて辛いです。

続けて見る勇気が……ないです……。



さて、田中哲司さんを殺したヒト。

ひらたま迷探偵の見たて。迷推理をここで披露しとこう(笑)


息子のシンジ君は、石田ゆり子さんの息子ではあるけれど、田中哲司さんの子ではない。
「本当のお兄ちゃんみたいに慕っている」
と、石田ゆり子さんが言った言葉に、ちょっと違和感。
だって、血は半分つながっているはずだから、兄ちゃんは兄ちゃんのはず。

ゆり子さんは、その事実を隠していたのだが、家族にばれてしまった。
「私が悪い」といってたのは、そのことを夫に隠して、後妻に入り、また息子にも、本当の父親のことを話してなかったことを指す。

ちなみに、夫は、シンジが自分の息子でないことを知っている。
シンジが溺れたときの薄笑い。実の子だったら、あんな変な顔、しないと思う。

息子シンジは、事実を知り、暴走。
父親を殴り?行方不明に。

でも、父親はそれが致命傷ではなかった。

息を吹き返した時に、借金?していた隣の主人が、鈍器で殴った。


ということで。

犯人は、ミヤサコぉです♪

こんな二時間サスペンス推理は、いかが?
連続物だから、こうじゃないとは思いますが。


ちなみに、文庫は、迷った末に購入しています(未読)
何せ、「告白」の湊かなえさんですから。
後味の良さは期待できません(笑)

みやさこぉです。なんて、軽い終わりなど問題外でしょう。
想像以上の結末が待ち構えてるはず。

私は、小説・告白の最後は、ある時代劇に似た感情を覚えました。
私には、「あり」でした。また、詳しい感想は後ほど。ということで。


とりあえず、夜行観覧車は、文庫本を読んでから、ドラマをみようと思います。
結末がわかってからじゃないと、ほんと、怖くてみれない
ひぃ~~~。


ちなみに、私。12年度の自治会婦人部の部長だったりします。

夏木さんのせいで、自治会婦人部のイメージが悪くなりそうな気が(笑)
各地区の自治会婦人部から、苦情のメールがドラマ宛てに、わんさか来てたりして(ウソ)

うおぅ、最高順位だ

にほんブログ村のテレビドラマランキングで、今日は、21位に入っていました!!

なんと!!!今までで最高順位です。

ご贔屓にして、読んでくださってる皆様、また、当ブログを訪問してくださった皆様、ありがとうございます。

ちらっと覗くだけでもいいですので、ぜひ、ぜひ、またのご訪問をお待ちしております。

とはいえ、今回の順位は、カテゴリ編集にともない、自分で、自分のブログを踏みまくったせいもあると思います。たはは。

目標にしている10番台には、あと、もう二つほどランキングをのばさなきゃです。

とりあえず、(短文でも)続けて、日記を書く……ようにせねば……と、は、思っています。

題材、推敲しないと、こういうネタになっちゃいますが(汗)

くるみパン焼いた

pann20130119.jpg


パン、今回は、専用粉じゃなく、普通の強力粉でやってみました。
牛乳、砂糖、塩、そして、別売りのイースト菌、無塩バターを使って、はじめて、二斤焼きました。

一斤の方が無難かな?とも思ったのですが、イースト菌が三グラムで、二斤の量に十分だったので、やってみました。多少のコストダウン?

でも、今回は、くるみを投入!
製菓用のくるみは、値段が高い!
なので、またもや、お高いパンになりました。

でも、ふんわりとして、おいしいパンができました♪
翌朝は少し固くなりましたが、(トーストした)全然大丈夫でした。


ちなみに、今日は、チョコチップを投入して作っています。
前回のように、ちゃんとふくらみますように♪

兵助~、その三アップしました

兵助、怒りの鉄拳!アップしました。

その三

本日は、その八を書いています。
まだまだ先は長いですが、なんとかなりそうな気配が漂ってきました。ふぅ~~。

八兵衛の聞き込みのおかげです。
さすが、八兵衛(笑)

そのうち、青山さまの超能力も出るか?出ません(笑)

昨日は、カテゴリの編集もしてました。
ふぅ~~。


兵助、怒りの鉄拳!は、二次創作『八丁堀の七人』の項目でまとめました。

どうぞ、ご活用ください。
よろしくお願いいたします。

久々の図書館

先週、(忙しいさなかというのに)図書館で、本を借りてきてしまいました。
『本とテレビ』と銘打ちながら、本のことを最近は書いていませんでした(汗)(あ、漫画は書きましたが……)

借りた本。(敬称略)

名セリフ! 鴻上尚史
ソロモンの犬 道尾秀介 
新世界より(上) 貴志祐介
時代小説が書きたい 鈴木輝一郎
時代小説用語辞典 群像編集部

最後の二冊は、泥縄ってかんじでしょうか(大汗)

また時間がとれましたら、本の感想とか書きたいと思います。
その前に書くものがありますが……。(ようやく、その七着手・冷や汗)

本、このほかにも読んでいないわけじゃないんですけどね。いろいろ、積読やら、再読やら、つまみ読み(苦笑)してたりします。感想書くならちゃんと書きたいと思っちゃうと、もう書けなくなっちゃって。

15のわけあり小説 ジェフリー・アーチャー つまみ読み
エッジ(上下) 鈴木光司 読了
付け火 秋山久蔵御用控 藤井邦夫 未読
綾辻行人ミステリ作家徹底解剖  再読

などなどです……。

土曜日のNHKラジオ

昨日、書いたように、土曜日のNHKラジオ第一は、おもしろい番組がてんこもりです。

お気に入りは、ラジオ文芸館、とっておきラジオ、お笑い、そして、お昼からは、かんさい土曜ほっとタイム。


とっておきラジオの番組で、またまた、劇ラヂ!ライブを再放送してくれるそうなので、楽しみです。

ひらたま、遂に、全国デビュー!!!

本日、NHKラジオ・かんさい土曜ほっとタイム「ぼやき川柳アワー」のコーナーで、
読まれました~~~~~~!!!

ビキナーズ・ラック!
二回目の投稿で読まれました~~~!

句は、お題の「聞く」で投稿。ラジオネームは、『ひらたま』のまんまで送りました!

三時半、我が句の未熟、思い知り

と、送って、読まれました。

この前の放送でも送ったのですが、(連れ名義で)

読まれるみなさんの句のレベルが高くて、高くて!!!

我が句のレベルの低さを思い知った次第でした。
(ちなみに、『前』のお題で、(ストーブの前でくつろぐ、飼い猫が。)というものでした。
占めるというもう一つお題で、仏様の座布団を猫が占領という意味あいの句があり。
ストーブと、仏様の座布団。う~~む。ストーブごときじゃだめねぇ、そりゃ、ボツだよ。ってかんじ。

ちなみに、ボツのテーマのものも多く、(コーナーは三時から四時までなのですが)
『4時になり…ボツとわかって、意気消沈』みたいな意味合いのものが、一句は詠まれるのです。

この間は、音楽が入る前の三時半、コーナー半分の時間には、もう、『ボツ決定!!』と判明!!(笑)そのことを詠んだのです。
また、『4時より、3時半だと、3時半ぐらいに読まれるかな?』という、スケベ根性まるだしの句です。

ビンゴでしたーーー。
やったーーーーーーーー!!!

司会の人には、「三時半は、早いですね。50分までは、待ってください」と。言われました~~。

うれしい!

この、かんさい土曜ほっとたいむは、ゲストの話(先日、ソンケン君こと、波岡一喜さんが出てた話を書きましたが)の話も面白いし、この「ぼやせん」のコーナーがすごく笑えるのです。

まだまだ、聞くこと自体もビキナーですが、また、来週も、考えて送りたいと思います!
来週のお題は「豆」と「曲がる」です。

ちなみに、連れの句は、ボツでした。ふっふっふ。

ラジオ文芸館『花丼』など

rajiob.jpg

今日の放送は、再放送の『花丼』でした。
以前、聞いたときも、「いい、はなしやぁ~」と、思いました。
今日も感動して、朝から、涙が……。
こんな風に、朝っぱら泣いちゃって、仕事に支障が出ることも、しばしば(苦笑)

ほんとに、このラジオ文芸館は、珠玉の作品が、群をなしております。

で、こうやって、もう一度聞きたいなぁ(やっぱり、ながら聞きなので、聞き逃している部分も多々ありますんで)と思う作品をやってくれるのが、また良いんですよぅ。

イマイチかなぁと思ってた作品(by『三度目の初任給で』)も、何度か聞いてると、聞き逃してた部分が、最大のポイントだったりして、ああ、この作品も良かったんだぁ~。見方がかわったりすることもあって、とてもよいのです!
この作品は回想となってただけに、冒頭を聞かないと、全然、良さが伝わらなかったのです。

(素晴らしい作品が多数ある作家さんなのに、なぜ、これをチョイス?というのがあったり。たまたま小説でもう一度再読したけど、どうも、心に来ないなぁ~なんてのもありますけど、ああ、残念!)

ただ、『三度目の初任給で』は、私は、音楽の部分に違和感。盛り上げる音楽が、ちょっと大げさに感じました。もっと、控えめな曲調のほうが良かったんでは?と、ずっと思っています。音楽が、作品を損ねた感じがしてるようで残念で。でも、これは、私が聞きだした段階で、もう三回も!!!放送。人気の作品なのだと思います。

今回の『花丼』も、前半の部分を聞き逃してたので、通して聞けてよかった♪

あらすじ(公式サイトからの転載)

とある町の川沿いにある小さな食堂「大幸運食堂」。主の継治(つぐはる)さんが一人で営む店は、かつてそこそこ繁盛していたが、近所の大型スーパーが閉店して以降、客足が途絶え、経営はかなり厳しい。おまけに、農業を営む兄から送りつけられた食用の「菊の花」の箱が山積みで、どうすれば処理できるのか途方に暮れる。ついには、「いっそのこと首でも吊ろうか」と思いつめるようになる。そんなある日、いつものように河川敷を散歩していた継治さんは、川の中で膝まで水につかりながら、さらに深いところに進んで行く男を見かけた。

「大幸運食堂」(PHP研究所)所収

この作品の登場人物たちは、不景気のあおりを食って、苦労している人たち。
自分や知人とも重なって、身につまされます。

がんばってても、どうしようもないことって、あります。
でも、何かに、勇気づけられる、元気が出て、もうちょっとがんばってみようか、と思うこともあります。

(そういえば、「三度目の~」も、仕事にあえぎながら、がんばる若者の話だったなぁ)

この作品自体が、また、がんばって生きていこう。
そう思える作品でした。

「花丼食って、花咲かせ」

私も、いろいろと、きびしい状況下におかれてるし、今年は、年明け早々ショックなことが重なり。
ブログに書けない、書かない、書きたくないこともいっぱいあります。
でも、いろいろ苦労してるのは、自分だけじゃない。って、自分に言い聞かせる。
体の動く限りは、動かさなくては!と思う。(でも、なんか、こう、体だけじゃなく、頭も使わないといけない、とも思う……ケド)

この「花丼」の、作者である・明川哲也さんの作品、ちょっと図書館で探してみようと思います!!

ちなみに、朝から大爆笑したのは、大好きな作家さんである清水義範さんの作品
桃太郎VS金太郎

「桃太郎VS.金太郎」2012年12月1日放送(あらすじ、公式サイトより転載)

桃太郎と金太郎は、端午の節句に並んで飾られることもある日本の元気な男児の象徴。ところが、互いに、相手が何者なのか、今までよく知らなかった。そこで、それぞれ家来の動物たちに、相手の素姓に関する昔話を調べさせたが、各地に異説が多く、どうもはっきりしない。とにかく相手が強いらしいことだけはわかったのだが、金太郎は、桃太郎の持つ「日本一」の旗が気に入らず、勝負を挑んだ。すると桃太郎は、正義のヒーローにふさわしく、斬るの突くのという戦いではなく、「トライアスロン」でフェアに決着をつけようと申し出た。
桃太郎と金太郎、どっちが日本一の勇猛児か、号砲一発、海に飛び込んだ。

「ザ・対決」(講談社文庫)所収

これも、ぜひとも、小説でも、読まなくては、と思います。

今後の放送も楽しみ!

で、NHKの土曜日のラジオは、ほんと、おもしろいんです
この話は、また明日~~

兵助、その二アップしました。

兵助、怒りの鉄拳!
その二です。
その二

ちなみに、今日の下書きは、六話だったりする(汗)
しかも、あんまり、事件は進んでなかったりするのでした(大汗)

でも、事件じゃないところを書くのは、楽しい。

時系列の設定は、全7シリーズを、ごちゃまぜにしています。(大汗たらたら)


ミラクル9

全然、この番組のことを知らなかったんですが、先週から、気づいてみました。

おもしろかったです。
特に、先週はぐるぐる回っていくクイズで、具志堅さんが、「マイケル・ジョーダン」というべきところを、「マイケル・ジョンソン」と言って、はずしたところが、面白かったです。
そして、先週は、マエケンも出てて、「WBCよりも緊張する」とか言ってて笑いました。

で、クイズで、気に入ったのは、漢字バラバラクイズです。

先週は、いっぱいあったのに、今週は、ちょっとしかなかったので、残念でした。
でも、先週はちぃ~~ともわからなかったのに、今週のは、「国語」が、わかって嬉しかったです。

来週は、なんかスペシャルらしいので、また楽しみにみたいと思います♪

テレビのヒトよりも早く答えられるようがんばりたいと思います(笑)

ビブリア古書堂・第二話

毎週録画で、楽しんでいます。まだ小説は未読(汗)

ネタばれありです。

biku001.jpg




さて、今回は、栞子ちゃんが、「本を構成するものは何ですか?」と聞いたときに、ピンと来ました!!
スピンだと!!


なぜなら、覚えたばっかりだったからです。
スピンという言葉を(byクイズ神)


残念ながら、クイズ神は、録画を撮るのを忘れていて、長戸さんが敗退した後だったので、適当にみてました。

でも、スピン、一つだけ、覚えていたのでした。(第一回のザビエルのてっぺんはげはもう忘れましたが)

こりゃ、スピンを取ったなと。でも、まぁ、それしか思い浮かびませんでしたけど。


それにしても、あの男子は、悪いやっちゃなぁ~。
あんなんを、そもそも好きになったらいかん(笑)
ってことで、まる。

AKIRAさんも、なかなかいいなぁ~~。
主演二人のフレッシュさが魅力。そして、ささえるおじさん(笑)がこれまたなかなかいいですな。

トップが重い。

新着日記の欄に、ひらたまの日記が出てるかもしれませんが、ご了承ください。
(出てないかもしれませんが)

ミクシィの日記に、この外部ブログを接続してみました。
マイミクの皆様、ご無沙汰しています。

訪問者の改編にともなうものですので、訪問者が改悪されたり、また、『自分にとって、あまりよろしくない感じ』がしたら、このブログの接続をやめる予定です

ミクシィ日記と違って、ここでは、気兼ねをしながら(日記の連続投稿をしないように、とか、日記の題材を選んだり、とか、言葉を選んだり、とか)書くようなことはしていません。

また、ミクシィ日記と違って、コメント欄を設けておりません。
業者ブロックと、あとは、これまた、『自分勝手』な仕様です。
もっと深い理由が知りたい方は、このブログを詳細に読んで調べてください(笑)

それにしても、ミクシィトップページは、重過ぎて、ほんと、使い勝手が悪い。悪すぎ。
途中で固まることもしばしば。ミクシィは、ほんと、携帯からみるぐらいが適当みたい。

と、ミクシィの悪口も、いいたい放題、書いたりします。
ではでは。取り急ぎご挨拶まで。

兵助、怒りの鉄拳!連載スタート

パクリ版・八丁堀の七人『兵助、怒りの鉄拳』

本日より開始いたします。
十話ほどになる予定です。

その一は、この日記の前の日記になります。
こちらです。http://dennpunn.blog.fc2.com/blog-entry-217.html
その一

更新は、月曜と金曜早朝を予定しています。現在下書きにて準備中、を随時公開にしていきます。
日記と、ミクシィのボイス(つぶやき)にてお知らせします。
お手間をかけますが、順番に並べたいので、ページを繰りながら、下の日記に飛んでください。二月末頃までの予定です。

まだ、4話分しか書いていないので、完結するのがちょと不安ですが、がんばります。
いまのところ、分量は、一話ずつの予定です。完了しましたら、全部アップします。


あらすじ

底冷えのする寒い日に、変わり果てた亡骸が、河原で見つかる。
それは、同心を辞め行方知れずになっていた松井兵助の叔父であった。
単なるケンカの果ての成り行きかともと思われたが、叔父が同心時代に追っていた事件が背後にあった……。
北町奉行所のおなじみ七人が、またまた活躍♪

生きて捕らえるのが御定法だが、刃向かう奴はかまやしねぇ。……叩っ斬れ!!

ひらたま版「八丁堀の七人」
『兵助、怒りの鉄拳!七年前の殺しの秘密を暴け!(仮)』

※原作・Answer警視庁検証捜査官・第5話 『謎の墜落死!? 娘を二度失った母…!! 』

八丁堀の七人の名場面も織り交ぜようと思ったけれど、なかなか、これも難しい。(今のところ回想は一シーンしか入っておらず、すみません)
ご都合主義満載(←おい!)でお送りいたします。


その一 兵助、怒りの鉄拳! 

siryuu004.jpg

ぱくり・八丁堀の七人「兵助、怒りの鉄拳!七年前の殺しの秘密を暴け!!」

その一

兵助は怒っていた。
「まったく、もう!どいつも、こいつも、へらへらしやがって!」

その大きな声に北町奉行所の門番は驚いたが、兵助は振り向きもせずに大股で歩きだした。

小雪が舞う寒い日であった。
顔にあたる雪の粒からも湯気が出てきそうなくらい、兵助の顔は高潮していた。

北町奉行所同心・松井兵助。
同心となってからどれほどの時がたっただろうか。勤めには、ずいぶん慣れてきた兵助である。
しかし、時折、のらりくらりして勤めをさぼりがちな同僚たちに、いらいらすることがあった。

先ほども、奉行所内の囲炉裏端で茶をすする磯貝総十郎や吉岡源吾が、上役の悪口を言い合うのにほとほとあきれてしまった。

もちろん、直属の上役・与力の青山久蔵に対しての憤りや不満は、皆と同様に感じてはいる。
青山は、部下に対して、口が悪く態度が悪い。思いやりの言葉ひとつかけず、同心たちを手駒のごとく働かせる。
しかし、青山の悪人を捕らえる腕は確かだった。この「剃刀久蔵」の下で働き、下手人をあげることは、兵助の喜びでもあった。

……あれは、いつのことであっただろう。※

座敷に立てこもった盗賊の手下。それを捕らえようと皆必死だった。
「生きて捕らえるのが御定法」
北町奉行所同心としての心得であった。

しかし、兵助は、その手下の太吉を斬った。
同僚である同心・古川一郎太が斬られそうになるのを、かばって斬った。

その太吉は、一郎太の幼なじみだった。
一郎太には、「太吉を斬るぐらいなら、自分が斬られた方が良かった」と叫ばれ、太吉の母や近所の者からは、「太吉はそそのかされただけだ。斬るなんてひどすぎる」とせめらたてられた。


……だけど、あの時、八兵衛さんは黙って聞いてたなぁ。

「憎むことも生きる力なる。私を憎めば生きてくれるだろう」
自分は憎まれてもいい、息子の後を追って死なないように。と、願う仏田八兵衛の優しさは、あの時の兵助の心にしみた。

過去の事柄を思い出しているうちに、兵助の心も落ち着いてきた。

歩みを止め、肩に降りかかった雪を手で払い、舞う雪を見つめた。
往来の人々は、寒さに身を縮めながら、足早に歩いている。


……青山様は、報奨金を太吉のおっかさんに渡したんだった。

「おいらがもらうぜい」
百両もの大金をあっさりと自分の懐に入れた青山。青山の飲み代に消えるのか思いきや、青山はその百両を太吉の母親へと渡した。

「あの母親の涙を忘れちゃいけねぇ」
あの時、兵助は、青山の非情な表の顔の裏に、町の者をいたわる慈悲深さがある意外な一面を知った。




原作・Answer警視庁検証捜査官第5話「謎の墜落死!? 娘を二度失った母…!!」

※第二回千両箱に罠を張れ!狙われた同心の娘

その二 兵助、怒りの鉄拳! 

その二

「旦那、旦那、松井の旦那!」
岡っ引の徳松が走って来るのがみえた。

「どうした!徳松!」
「旦那、河原に仏さんが……」
「何!」
徳松は、場所を伝えるのもそこそこに、「奉行所の皆にも知らせてきます」と言い、また一目散に駆け出していった。

河原には、もう野次馬が集まっていた。
一足早く、仏田八兵衛と古川一郎太の二人の同心が検分に到着していた。

「殺しですか?」
兵助に気づいて、八兵衛の顔色が変わった。

「兵助、お前は見ないほうが、いいかもしれん」
と、八兵衛は目を伏せ、一度は、兵助の肩を静かに掴んで遠ざけようとした。
「いや、でも、お前も同心の端くれだ。覚悟して拝めよ」
そう言って、兵助の目をまっすぐにみつめた。

「え?八兵衛さん?一体、何言ってんですか?どういうことですか?」
いぶかしく思いながら、兵助はその亡骸の顔を見た。

「お、叔父上?」
兵助は一瞬自分の目を疑った。しかし、そこには、叔父、原田誠之助が横たわっていた。
殴られたのか、それとも、何かにぶつけられたのだろうか、顔には、青いあざが点々と浮かんでいた。

「叔父上ーー、な、なんてこと。叔父上、叔父上、目を覚ましてください!叔父上ーーー」
叔父の遺体にすがりつき、兵助は絶叫した。

取り乱す兵助をみて、一郎太の目にも涙が浮かんだ。身内の死に取り乱すなという方がおかしい。だが、一郎太は、絞り出すようにして声をかけた。

「兵助さん……、落ち着いてください。しっかりしてください」
「バカやろう。これが、落ち着いていられるか!何でだよ!どうしてだよ。何で、こんなところで叔父上が死んでるんだよ!」
兵助は、思わず一郎太のむなぐらを掴んでゆすった。
一郎太は、その腕を離そうともせずされるままになっていた。兵助の悲しみと怒りを全身で受け止めてやった。
その目をみて、兵助はやっと自分を取り戻した。
「すまん、一郎太」

「叔父上の原田誠之助は、行方知れずになってそれっきりでした。姿が消えたのは、7年ぐらい前になります。こんな姿で会うなんて」
そういって、兵助は言葉を詰まらせた。
「とても優しい叔父上だった。そして、正義感にあふれた叔父上だった。六人兄弟の末っ子で、原田家に養子に行っても、同心としてよく手柄を立てていました。その手柄話をする時は、父母も、そして、奉行である一番上の叔父も誇らしげだった。私が同心を目指したのは、この誠之助叔父みたいになりたかったからです」

兵助は一気にまくしたてた。

「そうか、でも、この7年の間、お前の知らない誠之助の人生がこの間にあったのかもしれないなぁ」
怒りと悲しみでいっぱいの兵助に対して、八兵衛は、冷静に言った。

「兵助さん、私たちにできることは、誠之助さんがどうしてこういう亡くなり方をしたのか調べることだけです」
「ああ、今は、それしかないかもしれんな。よし、一緒に行こう、一郎太!」

……今は、探索に専念するんだ。
気持ちを封じ込めるように、兵助は、そう、自分に命じた。

その三 兵助、怒りの鉄拳!

その三

同心部屋には、磯貝総十郎、吉岡源吾、花田孫右衛門の3名が二人の帰りを待っていた。

勇んで聞き込みに行った兵助と、一郎太ではあった。しかし、うつむいて冴えない顔色の二人から、手がかりが何もないことは、三人には簡単に察しがついた。

磯貝が、いちばんに大声をあげた。

「7年も行方知れずになっていたんだろう。一体、何をして暮らしてたのかね。ろくなもん食ってなかったんじゃないのか?ふらついて、足でも滑らせて河原の石にでも頭ぶつけたってのが相場じゃないか?体のあちこちに青あざがあったっていうしな。」

思いやりのない言葉に兵助の目が険しくなった。
その目をみて、吉岡源吾が、磯貝の袂をひっぱった。
「磯貝さん、誠之助は兵助の叔父ですよ」

「ああ、そうだったな。だけど、7年もの間行方不明だったっていうじゃねえか、便りもよこさず、どういう了見だったんだ。そんな男、碌な男じゃないんじゃないか」

「磯貝さん、それはいくらなんでも言い過ぎです。叔父上は、とても律儀で立派な人でした」
「だから、だったら、そんな立派なお方がだな。なぜ、行方をくらますようなまねをしたんだ?」

険悪になりそうな二人を押しとどめるように、孫右衛門が、静かに口をはさんだ。

「その傷のことなんですが、ぶつけた傷にしては、私自身、何か違う気がしましたよ……。今、弥生先生が検分してくれてるそうです。じきに、八兵衛さんが、弥生先生の見立てを聞いて駆けつけてきてくれるでしょう」

「転んでできた傷じゃないとしたら、一体どういうことなんでしょう」
一郎太が頭をかしげた。

その四 兵助、怒りの鉄拳

その四

「なんだ、なんだ、そのしけた面は。ただでさえ、むさくるしい男の顔なんざ見たくもないってのに」
与力・青山久蔵が、いつもの毒舌を吐き散らかせながら、同心部屋に入ってきた。

「磯貝、あの夜鷹が殺された事件の探索は、はかどってるんだろうな」
青山は、原田誠之助の事件の報告を聞くよりも、三日前に起きた話を切り出した。

「あ、あれは、ですねぇ、鋭意探索中でして、あのそのいやはや、なにぶん、手がかりがですね、ばっさり斬られた刀傷ってことはわかってるんで……。たぶん、下手人は侍だとは思うのですが……」
磯貝のしどろもの返答は、これまた、調べが進んでいないことを物語っていた。

「おめえはいつでも、探索中、探索中。それにしては、茶ばっかり飲んでるんじゃねえか。おめぇの頭は、事件のことよりも茶で満たされて、ちゃぽんちゃぽぉんと、音がしてるんじゃねぇのかぃ?」

磯貝はその言葉に思わずゆっくりと頭をふってみた。もちろん音などはしない。
すぐに我に帰って、青山の嫌味を振り払うように、今度は小刻みに頭をふるのだった。

「袈裟懸けの刀傷か……。研ぎ屋にはあたってみてるんだろうな?」

「もちろんですとも、青山様。はい!もう、磯貝さんよりも、この源吾が足を棒にして、この広い江戸の刀の研師にあたってまわっています。しかし、なぜか、どこを当たってみても、誰に聞いても、そういう不貞のやからが持ち込んだ方が、どうしてもみつからないんです。青山様!!!」
青山の問いに、源吾が哀れむように訴えた。

「なんだ、なんだ、そのしょぼくれた面は!」
青山が一喝する。
「まだまだ、探しようが甘ぇんだよ。もう一度でも、二度でも、三度でも、研屋をあたってくるんだ」

「はい、わかりました」
源吾は、そう言って青山に背を向けたが、思わず、愚痴が飛び出す。

「青山様は、いいよなぁ。探して来い。って言っておけばいいんだから。こっちは、休む暇もなく、もう、毎日、毎日、歩いてばっかりなんだから。口だけ動かすのと、足動かずんじゃ、えらい違いだよな、まったく」

小声でぶつくさと言う源吾に、青山も毒舌で返した。

「源吾よぅ。お前さんの口もよく動くじゃねぇか。口や足動かしてるだけじゃなく、ちったぁ、ここを動かしてみちゃあどうだい」

青山は、源吾の頭を景気づけのように扇子で叩いた。

その五 兵助、怒りの鉄拳!

その五

「ばっさり斬られた袈裟懸けの刀傷といえば……」

孫右衛門が静かに口をはさんだ。

「誠之助が最後に追っていた事件も、夜鷹が切られた事件だったなぁ」

「叔父上が調べていた事件って、しかも最後の事件ってどういう事件だったんですか?私もずっと気になっていたんです。父にもまた叔父上に聞いても答えてもらえずじまいだったんです。行方不明になった男など関係ないと、いつも、とてもつれない返事しかもらえずにいたんです」

うなだれていた兵助が、孫右衛門にすがるように聞いた。


孫右衛門の語った誠之助の事件は奇妙な話だった。

夜鷹が殺され、誠之助は事件を調べていた。
でも、そこには、目撃者がいた。
深酒をしてしまい、大木のそばでついうたたねをしていた行商の薬売り・三吉だった。

薬売りは、『夜鷹を殺したのは侍だ』と証言した。そして、誠之助は、その侍を探すべく、毎日探索に出ていたという。

しかし、なぜか、その薬売りの三吉は、証言をひるがえしたのだった。

『自分は深酒をしていたので、たぶん、夢をみていた。侍とみたのは間違えていた』と。
ほどなくして、南町奉行所は、違う下手人をひっぱってきた。
しかし、その下手人も、その夜鷹殺しの証拠不十分で、裁きまでにはいたらなかった。そうこうしているうちに、奉行所の牢内でいざこざがあり、牢の咎人に怪我をさせた。そして、それは、早々に島送りになったのだった。

夜鷹事件は、また振り出しに戻った。しかし、あれだけ熱心に事件に入り込んでいた誠之助は、その後奉行所をやめ、ふつりと姿を消したのだった。


目を閉じ、黙っていた青山。
しかし、その目が見開かれた時の眼は、鋭い光を放っていた。


原作・Answer警視庁検証捜査官第5話「謎の墜落死!? 娘を二度失った母…!!」

その六 兵助、怒りの鉄拳!

その六

その頃、八兵衛は、弥生堂にいた。
誠之助の遺体は、八兵衛の機転で、水原弥生のところに一旦預けたのだった。

水原弥生は、青山久蔵への勘違いの恨みを持っていた。そして、八兵衛を監視するべく、八兵衛の家に転がり込んだのだった。しかし、誤解が解けた後も、同居が続いていた。
骨接ぎが専門の弥生だが、近隣の者からも「弥生先生、弥生先生」と頼られ慕われ、お産もこなす弥生であった。
居候ではあったが、「弥生堂」の看板は八兵衛の表札よりも大きかった。そのことからも、弥生のたくましさが伺えることだった。

弥生堂。
そこには、もう一人の頼もしい青年がいた。

長崎で医学を学んでいる市之丞が帰省していたのである。
市之丞は、青山久蔵の一人息子である。
青山の実家に寄るのもそこそこに、弥生のところに駆けつけたのである。

「これは、毒によるものです。毒を飲まされたためにこの斑点が出たのです。これは殴られたり、転んだりしてついたものではありません」
と、市之丞は言った。
「今、薬の勉強をしているのです。そこで、いろいろ学んでいます」
市之丞は、また、力を込めて言った。

「市之丞さまがいてくれて助かったわ。私にも、そうじゃないかと思ったけれどわからなかったもの」
弥生がためいきをついた。

「毒か……」
八兵衛も、また、深くため息をついた。
一体、誠之助は誰に毒を盛られたのだろうか……。と。

「おとっつあん」
と、襖が開いた。

おやいである。
「また、御奉行所に帰るんでしょ。おにぎり、こしらえておいたわ。少しおなかに入れていったら?弥生先生も、市之丞さまもどうぞ」
「そりゃあ、ありがてぇ。おやい、おめぇも、いろいろ忙しいのに、すまねぇな」

おやいは、ある事件をきっかけに、これまた八兵衛の元で居候しているのである。
おやいは、八兵衛を父親のように慕い、また、八兵衛もおやいのことを娘のように感じていた。

「ほんと、おやいは、気がきくねぇ」
八兵衛は、何の気なしにそう言ったが、弥生が少しむくれた。
「ええ、私は、気がききませんからねぇ」

八兵衛は目をむいた。ほおばっていた握り飯が吹き出そうになった。
「や、弥生さん、『おやいは気がきくねぇ』って言っただけだよ。別に、弥生さんが気がきかないって言ったわけじゃないのに……、何を怒ってるんだよ」
「怒ってません」
「怒ってるじゃないか」
「もう、さっさと、奉行所に行ってください」
「わ、わかったよ」

弥生はそっぽを向いた。
八兵衛をおやいと市之丞だけが見送った。

弥生もまた、おやいを娘のように感じていたが、八兵衛を慕う者として、おやいに、時々いらだったのだ。
他のものがみれば、それはすぐに、『嫉妬』と知れる感情であった。
しかし、弥生だけが、そのことには気づいていなかった。いや、気づいていても、弥生自身は認めたくない感情だった。



原作・Answer警視庁検証捜査官第5話「謎の墜落死!? 娘を二度失った母…!!」

その七 兵助、怒りの鉄拳!

その七

八兵衛は、奉行所に戻り報告した。
六人の目の色が変わった。

「毒……」
「毒のせいで、そんな色が浮かんだのでしたか!」
皆、口々に「毒」「毒」とつぶやいた。

「そういえば」と、孫衛右門がはっとした。
「証言を翻したのは薬売りの三吉だった。」

「薬と毒。お互い、真逆のものではあるが、気になるな……」
一郎太が考え込んだ。

「くそう、その薬売りを探します!!」
兵助の大声に、源吾が悲鳴をあげた。
「え~この広い江戸を?しかも、7年前のことだよ。その三吉って奴は、江戸にいないかもしれないじゃないか」

「兵助さん、私も行きます」
若い二人は率先して、同心部屋を出て行った。

青山は、今度は何も言わずに、源吾をぎろりと睨んだ。

「はい、はい、わかりました。行けばいいんでしょ。研ぎ師探しに、薬売り探し。行けばいいんでしょ……」
源吾の声は少し涙ぐんでいるようだった。
そして、青山を残し、六人は、探索へと出かけていったのだった。


しかし、探索は遅々として進まない。
誠之助の事件から、三日が経っていた。

兵助はあせっていた。語気が荒くなったと思えば、不意に沈んだりと、心が落ち着かなかった。
同心たちも、そんな兵助に気を遣い、あえて口をつぐんだ。

しかし、あまりに憔悴した兵助の顔を見て、八兵衛は声をかけずにはいられなかった。
「おい、兵助、昨日も寝てないんだろう。ちょっとは、家に帰って休んだらどうだ。」

「大丈夫です。八兵衛さん。叔父上を殺した下手人をあげるまでは、休んでなんかいられません」
「だが、なぁ、兵助、しっかり動くためにも、少しは休んだ方がいいよ。青山様には私がうまく言っておいてやるよ。だからな、兵助」
「ほんと、大丈夫です」
兵助は、青ざめた顔に少し笑顔を浮かべて言った。
「しかし、なぁ」
なおも止める八兵衛を振り切るようにして、兵助は、同心部屋を後にした。

その八 兵助、怒りの鉄拳!

その八

いろいろと訪ね歩いてみたものの、これといった手がかりはみつからなかった。
兵助は、心底疲れてしまい、一人、池のほとりで佇んでしまっていた。
「一体、何やってるんだ。しっかりしろ、俺!」
兵助は自分を鼓舞するように、両手で頬を叩いた。


「ちょっと来い、兵助」
非番なのか、青山がとくりを下げて、兵助の前にぶらりと現れた。
どこへ行くのかと思ったが、着いたところは、青山の屋敷であった。
「何ですか?青山様。私は、まだ、探索の途中です。青山様みたいに暇じゃないんですよ」
兵助は口を尖らせた。

「はっはっはっは」
青山は、豪快に笑った。
「とか、いいながら、ずいぶんと、たそがれてたじゃねぇか」
兵助は、図星を指されて、返す言葉がなかった。

「ちょっと、二日酔いでな。酒を抜くのを手伝ってくれないか」
青山は木刀を兵助の前に放ってよこした。
兵助は、黙って木刀を受け取り、構えた。

「かかってこい。兵助」
兵助は、何度も青山に向かったが、かわされるだけである。
そのうちに、きびしい一手が、兵助の肩に打ち込まれた。
そして、次々に、脛に、腕に、腹にと、食い込んだ。

……二日酔いとかいいながら、このおっさん、いつもながらに強い。
そういえば、六人で、稽古をつけてもらったときがあった。
しかし、誰一人として、青山に打ち込めた者はいなかった。


青山の屋敷を覗いた八兵衛はあわてた。

「な、何をしてるんです。青山様、兵助!あ、青山様!兵助はこのところの探索で疲れてるんです。
『休ませてやってくれ』と、お願いに来たところだったんですよ」

八兵衛は倒れた兵助をかばいながら、青山に懇願した。
「いいんです。八兵衛さん」
「ああ、どいてろよ。八兵衛」

とまどいながらも、八兵衛は黙って二人を見守った。

地面に膝をつき息のあがる兵助に、涼しい顔をして青山が言った。
「だらしがねえなぁ。頭も動かず、体も動かないんじゃ、どうしようもないな、兵助」
「まだまだです。青山様」

兵助は、その昔、叔父の誠之助とやっとうの稽古をしたことを思い出していた。

「兵助、お前は余計な力が入りすぎてるな。もっと、肩の力を抜け。」
「力を込めないと、強く打てません!」
誠之助は笑いながらも、兵助の相手をしてくれた。

不意に、青山の顔が誠之助に重なる。
兵助の体から、すっと力が抜けた。
青山の隙がちらっとみえた。
一歩踏み出し、木刀を打ち下ろす。
青山が、それを斜めに受けた。

「ふっ、やっと、体が動くようになったのかい。おいらも、汗が出て、酒が抜けてきたぜい。」
青山は、兵助に背を向け、自分は屋敷の方へ向かっていく。

一礼した兵助に、青山は、足だけを止め、振り向きもせずにつぶやいた。

「下手人を追ってるのは、お前だけじゃねぇ。一人であせってたって、どうしようもねえぜぇ。ちったぁ、仲間を……」

そう言いかけて、青山は口つぐんだ。
「いや、なんでもねぇ。汗かいたぜぃ。着替えてこよう」
飄々とした態度で、青山はさっさと屋敷の中へと入ってしまった。

兵助は、屋敷に向かってもう一度深く頭を下げ、そして、八兵衛に向かって笑顔をみせた。

「私は、まだまだ大丈夫です。若いですから」
その晴れ晴れとした顔をみて、八兵衛もうなづいた。

その九 兵助、怒りの鉄拳!

その九

七日が経った。

兵助と八兵衛は、薬屋や卸問屋をあたってみていた。
「三吉さんですか?そういう名の人は、心当たりはないですが…」
「さぁ?」
「知りませんねぇ」
誰も、三吉という人物を見知った者はいないようだった。

八兵衛は、ふと思いついてこんな問いをしてみた
「今、いちばん、勢いのある薬屋はどこだい?」
「はい、はい、それなら、菊屋さんですよ。生薬屋の」
「菊屋?」
「はい、7、8年前から、急に店をかまえて、大きくなったのです。店主の方は、たいそうな技の持ち主ですよ。作る薬は、大変よく効くそうでして、大人気だそうですよ」

「7年前かぁ……そうか、ありがとうな」


兵助たちが菊屋に出向くと、侍が数人、薄ら笑いを浮かべながら出てくるのに行き会った。
一人の侍は、同心姿の兵助をなめまわすように見つめた後、「ふん」と、鼻を鳴らした。
「なんだ?貴様、その態度は!」
いけすかないその態度に兵助は、思わず声が出たが、八兵衛は、それをなだめて止めた。
それを見た侍たちは、それ以上は何も言わず、二人に背を向けて立ち去った。


菊屋の主人は、物腰の柔らかな男であった。
名は「弥太郎」と言い、「三吉」ではなかった。

八兵衛は、当たり障りのない世間話をしながら、店を構えた時の様子を話してもらった。
よどみのない調子で店主・弥太郎は答えた。
しかし、その流暢な話し振りに、逆に八兵衛は不審に思った。

「今さっき出て行った、あのお侍は、誰だい?」
弥太郎の顔が、一瞬、こわばったようにみえた。
が、何事もなかったように、すぐさま笑顔になった。
「おなかを急にこわされたと言ってみえられただけです。お薬をお渡ししたら、お帰りになりましたよ。お名前などは、聞いてはおりませんが……」

「いや、何でもない。長居をしたな」
八兵衛と、兵助は、菊屋を後にした。


八兵衛が店の前を出ると、青山が店の前に着流しを来て立っていた。またしても非番のようである。

「お、その顔、何か掴んだかぃ?ちったあ、足だけでなく、頭をつかわなきゃなぁ。なぁ、八よぅ」
「いえ、まだ、何もわかったわけではありません。ただ、7年前から店が急に大きくなった。ってのが、ひっかるだけです」


「そうだ、青山様!今さっき出て行った、目つきの悪い侍たちに会いませんでしたか?」
兵助は、まだ、あの侍が気になるらしく、青山に尋ねた。

と、すぐにその名は知れた。


「ああ、あれか?あれは、佐川玄太夫のせがれ、佐川玄之進だ」

その十 兵助、怒りの鉄拳!

その十

佐川家の屋敷に、弥太郎は上がっていた。
「佐川さま、今までなりをひそめていた同心たちが、うろうろしておりますなぁ」
佐川は、黙って茶をすすっていた。
それをみて、弥太郎は、話題をかえた。

「それにしてもおぼっちゃまの所業に困りましたな」
佐川は、弥太郎を睨みつけた。
「あいつは何もしていない」

「はい、はい、そうでございましたね……たしか、下手人は、なんとかというごろつきでございましたね。ただ、調べの最中に、ケンカ沙汰をおこして島送り。殺しの調べもは結局うやむや。まったく、南町で当時奉行をなさっておられた佐川様のこと、下手人を捕らえることも、作ることも造作もないことでしたね」

「何のことを言っているのだ、三吉!あの事は、下手人は、だ。しかし、証がなかったのだ。その最中にケンカ沙汰、島送りにしただけだ」

語気の荒くなった佐川だったが、弥太郎は、気にもせずに話題を元に戻した。

「このところ、玄之進さまが、私のところに金をせびりにきます。もちろん、恩義ある佐川様のご子息さま。もちろん御用立てはしておりますが、こうやって同心どもうろうろしておりますので……」

「みなまで言うな。わかっておる。三吉。それにしても、お前のあの毒で、殺しとわからぬように、あの男を始末したのではなかったのか。」

「見破られぬはずはないと思っておりましたが、北町にも目ききがいるようですな。それより、佐川様、私も、もう少し、店を大きくしとうございます。それに、私の名は弥太郎でございますよ。三吉、もうその名は、捨てましてございます。いや、佐川さまからつけていただいた名ではありませんか」

佐川は、弥太郎、いや、三吉は微笑みながら、平然と言った。
「そんなことは知らぬ。分かっておる!金なら用意しておる」

「いつも、いつもありがとうございます。また、私の毒が入用なときはどうぞ、お申しつけください」

弥太郎こと、三吉は、平伏しながらも、その顔には不気味な笑顔が浮かんでいた。

その十一 兵助、怒りの鉄拳!

その十一

源吾と孫右衛門は、研ぎ師の探索にあたっていた。
しかし、こちらも、らちがあかない。
聞き込みの道すがら、二人は、頭を抱えていた。

「もうどこに言っても『知らない、わかりません』ばっかりだよう」
「がんばりましょう。源吾さん。私たちは、探すしかないんですから」
「孫さん、おれは、もうくたくたんなんだよ」
源吾はいつものように弱音を吐いた。
孫衛右門も同意してくれるかと思いきや、そうではなかった。

「もう一度でも、二度でもあたるしかないんですよ!」
優しい物言いの孫右衛門が大声をあげたのだ。
源吾には、孫右衛門の顔が、なぜか、青山の顔に重なった。

実は、この孫右衛門、今でこそ、子沢山の妻思い。どちらかというと、内職にはげみ、任務には熱心ではない同心である。
しかし、その昔は、剃刀孫右衛門と言われ、仕事の鬼だったのだ。

孫右衛門は、うつむく源吾を置いて、先へと歩き出した。
「わ、わかったよ。おれも行くよ、待って、待って」


三度目の研ぎ屋で、出てくる侍と孫右衛門は、ぶつかってしまった。
孫右衛門は、すぐさま謝ったが、侍は、無言ですばやく立ち去った。

その様子を、通りがかった兵助と八兵衛が、見ていた。
「あれは、確か……」
「なんだい、兵助、どうかしたか?」


「あれ、あれ、また旦那ですか?」
研ぎ師の蓑吉は、源吾の顔を見て、うんざりしたような顔をした。

しかし、店にすごい勢いで飛び込んできた兵助が、「今の侍、佐川玄之進だな!」と聞いた途端、蓑吉の表情が変わった。

「佐川玄之進とかいう奴のこと、詳しく、教えてくれないかい。頼むよう。悪いようにはしないよう。いい知らせには、奉行所からほうびも出るんだよ。頼むよ……」
源吾も懇願した。しかし、蓑吉は、黙りこんだ。

源吾の態度が、急変した。
「おい、人が何人も死んでるんだよ!まだ、だんまりを続けるんなら、番屋にしょっぴくぜ!源吾さまのお仕置きは、閻魔さまでも悲鳴があがる仕置きだぜ!」

蓑吉は、震え上がった。そして、今の侍が、玄之進であることを認めた。
前の夜鷹殺しの時も刀を持ちこんだこと、金をもらって口止めされていたことを、白状したのだった。

「よし、よし、牢屋に行かないですんで、良かったな。俺が、褒美をもらってきてやるからな。安心しな」
と源吾は言った。


しかし、そこへ、青山が現れた。
「いや、奉行所に来てもらおうか、そして、二、三日、牢屋に入っててもらおう」

「あ、青山様、その必要はないと思います。今、私が、せっかく、落としたんですよ。落としたばっかりなのにぃ」
「そうですよ青山様」
源吾とともに、八兵衛も孫右衛門も、食い下がった。

「いいや、入っててもらうぜ。ほら、兵助、連れていけ」

青山は、同心たちにきつく言い渡すのだった。

その十二 兵助、怒りの鉄拳!

その十二

「ちきしょう!殺られました!」

磯貝総十郎と一郎太が早朝の奉行所に駆け込んできた。

「菊屋の主人、弥太郎が殺されました」

「なんだって!」
同心たちは、ざわめいた。
そして、青山が研ぎ師を牢屋に入れておけといった意味を悟ったのである。

「あ、青山様、もしかして、蓑吉も狙われると思ってのことだったんですね……」
八兵衛はため息をついた。

「そうだ。だから、おめえたちは甘いってんだよ」
青山は舌打ちをした。

「それにしても、佐川は、旗本・御家人。支配違いの私たちには、手出しができかねます」
磯貝が、苦しげにうめいた。

「ちきしょう。あいつが、もし、叔父上を殺した下手人なら、私がこの手で、この手で、召し取りたかった」
兵助は、悔しげにつぶやくと、一人同心部屋を出て行った。

「捕物出役だ。用意しろい!」
青山が低い声で言った。
「しかし、青山様」
磯貝が止めようとしたが、青山の眼光に押し黙った。

皆は捕り物装束へと着替えの準備にかかる。
用意はできたが、しかし、兵助が帰って来ない。
「どうした?兵助は?」


青山が、十手を持って現れた。
「あいつ、こんな物置いていったぜ。まったく、先走りやがって」



兵助は、単身、佐川の屋敷に乗り込んでいた。

「お話があります」

「北町の同心風情が何用だ」
家来たちが数人出てきた。

「今回の、夜鷹の事件、そして、原田誠之助が殺された事件、そして、7年前の夜鷹殺しについてもです。夜鷹の事件の時のご子息、玄之進様の行動。そして、菊屋の主人、弥太郎が殺された事件について、ご説明願いたい」
と、兵助は、静かな口調で切り出した。

「その菊屋の主人とも、また、原田誠之助とやらいう者についても、当方は何もかかわりはない。夜鷹の事件?そんなものに、佐川の家は関わってなどおらぬ!」
「とっとと、帰れ」
家来たちは、兵助を鼻で笑った。

「うるせぇなぁ。何の用だ」
玄之進が顔を出した。

その声を聞きつけ、あわてて佐川玄太夫が現れた。
「玄之進、お前は、ひっこんでいろ!」
父親は叱責したが、玄之進は何かまわぬ様子で、兵助を見下ろした。

「父上、この無礼者。面倒ですから、この場で手打ちにいたしましょうよ」
「黙っておれ、玄之進!」

玄之進は父親の言葉を無視して、兵助の目の前に立った。

「それにしても、あいつに似てるな。あいつも、俺に説教しやがったっけ。『潔く罪を認めて腹を斬れ』ってな」
「何だと!」
しらばっくれるかと思いきや、いきなりの告白に兵助は面食らった。

「あの、原田って野郎、俺がやった殺しを全部調べあげたんだよ。でもって、『腹斬れ、腹斬れって』。まったくうっとおしぃんだよ。誰が、自分の腹なんか斬れるかよ!原田も、俺が始末しようと思ってたのに、弥太郎が毒を盛ったからなぁ。俺がやっちゃっても良かったんだ」
「何が、良かっただ!ふざけたことを言うな!」
「弥太郎も、父上を脅してたようだから、野郎は、俺が斬った。ときどき、お金をくれるいい親父だったけど、残念だったなぁ。ま、弥太郎、いや、ほんとの名は、三吉って言ったっけ。三吉、俺が斬った夜鷹のこと黙ってくれてたしねぇ」
ねばりつくような物言いで、玄之進は、兵助に語った。
「貴様という奴は……」

……く、狂っている。
兵助は、玄之進の目の底の狂気に震えた。この男は人を殺すことをなんとも思っていないのだ。この男は人を殺すことを、まるで遊びでもあるかのように思っている……。


玄之進は、刀を抜き、家臣も縁側から庭に降りてきた。

兵助は囲まれてしまった。

その十三 兵助、怒りの鉄拳!

その十三

その時だった。

「はっはっは」
低い声で笑いながら、捕物装束の青山が入って来た。


「すべて聞かせてもらったぜぃ」
続いて、同心たち五名も続く。

「北町奉行所である。佐川玄之進、そなたの悪行は、研ぎ師、蓑吉の証言により、すべて明白である。神妙に縛につけ!」

磯貝総十郎が、庭に響き渡るような声で、言い放った。

「北町の蛆虫どもめ!」
「うるさいハエどもめ!」
佐川の家臣たちが口々に同心たちをののしった。

「そうかい、おいらたちは蛆虫かい?いいねぇ」
冷ややかな顔で青山は言いきった。しかし、青山の顔は笑ってはいなかった。

「でもなぁ、そういう、ハエやら、蛆虫ってものは、何にたかるか知ってるのかい?」

一瞬、佐川親子と家臣たちはいぶかしそうな顔をした。

間髪いれずに、青山は大声を張り上げた。

「それはな、てめえらみたいに、腐ったものに群がるんだよ!」

佐川玄太夫の顔が怒りでゆがんだ。
「ひ、ひねりつぶしてやる!やれ、殺ってしまえ」

家臣たちが一斉に刀を抜いた。


「生きて捕らえるのが御定法だが、刃向かう奴はかまやしねぇ。叩っ斬れ!!!!」

青山の掛け声とともに、同心たちも十手を構え、家臣たちに挑んでいった。

その十四 兵助、怒りの鉄拳!

その十四

「兵助」
青山が投げた十手を兵助は受け止めた。
皆がうなづき、兵助もうなづき返した。

青山の鉄鞭がうなりをあげた。
向かって来る一人の肩に一発。二人目は頭に一発。三人目は、腹に一発と、叩きのめす。

「うおぉ!」
磯貝総十郎が、吼える。家臣の刀を十手で受け止め、押し返し、肩をぶちのめす。
花田孫右衛門は、刀を交わし、背後に回って、相手の背中に十手を打ちつける。
吉岡源吾は、倒れた相手の腹に、何度も十手を振り下ろしている。
古川一郎太は、逆手にもった十手で、刀を払い、もう一人向かってくる相手の腰に足蹴りを食らわした。

「うあっ」
仏田八兵衛は、二人の相手に囲まれてしまった。刀を受け止めている間に相手が斬り込んできた。
一瞬、目をつぶった八兵衛だった。
しかし、「うがぁ」相手は、地面に倒れた。

兵助が駆け寄って、相手の背中に十手を叩きつけたのだ。
八兵衛は、相手の腹に足蹴りを食らわせて、体勢を立て直し、相手の頭に十手を打ち込んだ。


兵助は、十手を振りかざして、玄之進に向かって振り下ろした。
が、やすやすと、刀で振り払われてしまった。
兵助は、勢い余って転んでしまったが、かがみながらも、再度、十手をかざした。

「そんな十手で何ができるってんだ」
玄之進は、上段の構えから、刀を振り下ろした。
兵助は、何度も十手で受け止めては、跳ね返した。
よろめき転がる兵助をみて、玄之進は、とどめとばかりに、兵助に向かってきた。

玄之進が刀を振り上げたその一瞬に、隙がみえた。
兵助は、すばやくよけて立ち上がり、相手の懐に入って、相手の喉元めがけて十手を突きつけた。
「うぐぅ」
玄之進は息が詰まった。玄之進はよろめきながら後ずさる。
だが、兵助を睨みつけ、再度振り下ろした刀で、十手を弾き飛ばした。

兵助は十手を弾き飛ばされても、ためらうことはなかった。
玄之進の腹を足で蹴った。
「ぐぅ」
またしても後退する玄之進。
その両腕を掴み、その刀を力づくで奪った。

玄之進は、仰向けにばっさり倒れた。

兵助は、玄之進の腹に馬乗り、玄之進の胸倉を掴んだ。
「この下郎!!」
そして、怒りに震えるこぶしに力を込めて、玄之進の顔を殴った。
「これでも、食らえ!」

「ぐぉ」
玄之進の顔がゆがんだようにみえたが、またもや、その顔に薄笑いが浮かんだ。
兵助は、落ちている十手を拾い上げ、もう一度、玄之進の顔を叩きのめした。
「うがぁ」
玄之進は悶絶した。


「佐川玄太夫よ。できの悪い息子を持つと苦労するなぁ」
立ちすくんでいる玄太夫に向かって、青山がつぶやいた。

「こんなことをもみ消すなど、造作もないことよ」
玄之進が、少し震えながらも、負けずに言い返した。

「ばかなことを言っちゃいけねぇ。これだけの人間が、聞いてるんだ。見てるんだ。奉行所職をやめたおまえさんなぞ、ただのおいぼれ隠居。罪を認めて、息子と二人、腹でも斬るんだな」
「うるさい!」
玄太夫は、刀を抜いて青山に斬りかかった。

青山は、その刀を簡単に振り払い、玄太夫の脳天に鉄鞭を食らわした。


兵助はなおも玄之進を殴ろうとしていた。

「兵助、もう、そのぐらいにしとけ」
八兵衛が、そっと、兵助の肩に手をおいた。

「ふっ、別に、なんともないぜ」
息も絶え絶えなくせに、玄之進は、負け惜しみを言った。
「そうかい?」
八兵衛は兵助を引き止めたと思いきや、八兵衛自身も玄之進の腹に、十手の一撃を加えたのだった。

その十五 兵助、怒りの鉄拳!

その十五

捕物出役から三日が経った。

磯貝が、血相を変えて、同心部屋に飛び込んで来た。
「佐川玄太夫が病死したそうだ」
「何だって?」
孫右衛門も驚いた。
「それがな、死んだ時に青いあざが、いたるところにあったんだそうだ」
「まさか、三吉の野郎の仕業ってことですか?」
「狙われていると感じて、密かに、毒を仕込んでいたのかもしれませんね」
孫右衛門は、一郎太の疑問に、憶測で答えた。

「二人とも死んでしまった。今となっては、闇の中だ」
青山が苦虫をつぶした顔で現れた。
「玄之進も死んだんですか?」
一郎太は、玄之進について尋ねた。
「いいや、死んじゃあいねえよ。もっとも、玄之進については、切腹の沙汰が下った」
青山は、「生きているのもあと数日だ」と、続けた。

「佐川の家も断絶ですね」
源吾がしみじみつぶやいた。

磯貝は、玄之進の噂を語った。
「それにしても、あいつは、とんでもない野郎だぜ。未解決の辻斬り事件。あっただろ。あれもこれも、あの玄之進の仕業だったってんだぜ。悪びれることもなくしゃべてたって。上の連中があまりの悪行ぶりに目を白黒させてたって話だ」

「切腹じゃなくて、打ち首獄門。それも、何回もやらなきゃおさまりませんね」
一郎太がこぶしを握り締めた。
「私も、もう二発三発、食らわしておけばよかった」
八兵衛もうめいた。

「そんな玄之進の悪行を止めようとしていた誠之助。彼は、なぜ同心をやめたんでしょうかね」
八兵衛は素朴な疑問を青山にぶつけた。

「おいらが調べたところによると、誠之助が同心をやめた同じ頃、原田の養子先の父親、養父がだな。死んだんだ。その時には、青いあざがたくさんあったそうだ」

青山は、大きなため息をつき、皆は息をのんだ。

「養母にも危険がおよぶと思って、同心をやめた。かもしれねえな。でも、誠之助も死んだ今となっては、これもまた、闇の中だ」

最終話その十六 兵助、怒りの鉄拳!

最終話
siryuu003.jpg

画 しりゅう


その十六

小春日和の穏やかな日だった。

兵助と八兵衛は連れ立って、原田誠之助の墓参りに来ていた。
墓の前にはたくさんの花が活けられていた。活けきれずに、墓のまわりにも手向けられた花が、所狭しと並んでいた。それは、多くの人々が、誠之助を偲びに来ていたことを物語っていた。

現に、誠之助の前で事件の報告を話している間にも、南町の同心仲間だったという者、誠之助に世話になったという町人らが、手桶を持ち花を持ち、墓参りにやって来ていたのだった。

「誠之助は、やっぱり、皆に慕われていたのだな」
「はい。私の信じていた通りの人だったんだ。そう今でも思っています」
兵助は笑顔で立ち上がった。
「じゃぁ、八兵衛さん、私はこれから、原田の家に行って、この事件のことを誠之助の母君にお伝えしてきます」

事件は、玄之進の切腹で幕が下りていた。

兵助のその後ろ姿には、悲しみと怒りを抱えつつも、事件を解決したという一つの安堵感が醸し出ていた。
八兵衛には、兵助のその背中が、いつもより大きくみえた。

「あいつも、一端の同心になったなぁ」
八兵衛は、兵助を見送ってから、もう一度、また手を合わせた。

その八兵衛の肩を叩いた者がいた。
青山だった。
「よう、八兵衛」
「青山様も、お墓参りに来てくださったんですね」
「ああ」

青山も、感慨深げに手を合わしたが、すぐにくだけた調子になった。
「ああ、一件終わって、飲みたい気分だなぁ。なぁ、八、墓参りはそれぐらいにして、飲みにいかねぇか?」

「こんなまっ昼間っから、酒ですか?」
「いいじゃねえか。別に、昼飲もうと夜飲もうと。飲みたい気分の時に、飲むのが、いいんじゃねえか」
「いっつも、いぃ~~つも飲んでばっかり!青山様は『飲みたくない気分』ってのは、ないんですか?」
「ないねぇ~。全然、ないねぇ」
八兵衛は、こりゃダメだという顔しながら、ふと思い出したことがあった。

「あ、そういや、兵助に稽古つけてた時、青山様、仲間がどうこう言ってたじゃないですか。あれは、何を言おうとしてたんですか?」
「え?そんなこと言ってたか?忘れたぜい」
「まさか、まさかぁとは思いますが、『仲間を信じろ』。とかなんとか格好いいこと言おうとしたんじゃないですか?まぁ、青山様がそんな優しい言葉をかけるとは、さらっさら思えませんがね」

「……」
すぐに言葉を返すかと思いきや、青山が黙った。
八兵衛は、青山の顔をじっと見入った。
「あ、あれ~?照れてるんですか?図星、図星ですか~。あら~、こらぁ、赤い雪が降るかもしれない」
「何、ばかなこと言ってんだ。おいらは、いつも優しい言葉をかけてるじゃねえか。現に、今だって、酒飲みに行こうって、誘ってるじゃねえかよ」

「ご自分が飲みたいだけでしょ。そういうのは、別に優しかない。ですよ。酒なら、一人で行ってください」
八兵衛は、青山に背を向け、一人すたすたと歩きだした。
「八よ~~なぁ、八っつぁん~~」
青山が、のんき気な声を出した。
「なんですか、その気の抜けるような声は!鬼与力・青山久蔵の声とは思えませんよ!」

二人の声が、山間の静かな墓地にこだました。



江戸の町では、北町の同心たちが、今日も忙しく立ち回っていた。

吉岡源吾は、茶屋の娘にまとわりついている。聞き込みではなく、どうやらくどいているらしい。

磯貝総十郎は、お偉方の後を手もみしながらついていく。上昇志向の強さは相変わらずである。

花田孫右衛門は、証文に目を通しつつも、こっそりと内職の爪楊枝を取り出した。

古川一郎太は、道でころんだ男の子を抱き起こして、ほこりを払ってやっている。

兵助が、原田の家を辞去するところに、徳松が現れた。またしても事件のようである。


兵助と徳松は、連れ立って走りだしていく……。



                 完



※イラスト しりゅう様(2013年賀状より♪)
プロフィール

ひらたま@でんぷん

Author:ひらたま@でんぷん
山口県在住 
女性(若くないです)
O型、蠍座
八丁堀の七人と、子連れ狼の大五郎が好き

最新記事
カテゴリ
リンク
Powered By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ
FC2 Blog Ranking

検索フォーム
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR