生存編1八丁堀の七人

テレビ朝日で放送された、時代劇、八丁堀の七人。
その最終回は、上様に直訴をしにいって、門が開くというところで、完です。

その後の話はありません。直訴の結末はわかりません。七人の生死については、上様への直訴は御法度、死罪。なので、七人はたぶんその後死亡というのが、想像でき、涙を誘います。

なんとか、七人が、生き残る方法を考えたのが、こちら。以前mixiで、書いたもののをこっちにも掲載しておきます。


八丁堀の七人~千代田のお城の奥の前~

上様は暴れん坊




「ご開門願います!!」
闇に、その言葉だけが飛び交う。
「開く訳がなかろう」若年寄が不敵に微笑み、家臣らが刀を抜く。
その時だった。
「ぎぎぃ」城の門が開かれた。
「まさか・・」戸田若狭守の顔が驚愕であっけにとられた。
「・・・行くぜぃ」
青山久蔵が立ち上がる。八兵衛たち6人も後に続く。
門の中に足を踏み入れる。。。

八兵衛は身震いがした。
「何震えてやがる?八」
青山の顔は、いつもと同じだ。冷静で沈着。そして、その顔には笑みさえも浮かんでいる。
「いえ・・」
青山様には畏怖の念というものはないのだろうか?ふと八兵衛は思った。いや、そうではない。ただ、自分の正義を貫く。この人はそれだけなのだ。。。

「行くぜぃ」
同じ言葉だが、腰の据わった野太い声が響いた。

「待て、貴様たち、そのあまりの傍若無人、門の外へ引き戻せ!」若狭守がひときわ甲高く叫んだ。

その時だった。
一人の侍が現われた。
「何者だ!」
しかし、その侍は、黙って抜刀する。
すり足で、若狭守に、にじり寄る。

「あ、青山様」
磯貝が、判断を仰ごうと、青山の顔を見る。
青山は唇を噛んだまま、じっとして動かない。

青山たちの前を、一陣の風が吹きぬけるように二人の忍びも現われた。
「おまえたち、手を出すんじゃねえ・・」
「しかし!」「なぜですか!」
一郎太と兵助が勢い込んで言ったが、青山の鋭い眼光に押し黙る。
彼らも気づく、手を出したくても、自分たちは丸腰だ。手の出しようがない・・・。

その侍の剣はまるで、舞のようだった。斬り結ぶと火花が闇夜に溶ける。
家臣たちは次々と倒れていく。
侍が一言告げると、忍びが、若狭守に向かって、刃を突き刺した。
若狭守は絶命する。

「あなたは一体?!」
八兵衛のその問いには答えず、侍は告げる。
「ここからは立ち去った方がいい」
張りのある声と落ち着いた物腰。今の剣といい、只者ではない。八兵衛は思った。
「いいや、私たちは、この奥に用があるんでして」
「伝えておくと言ってもか?」
「はい」
青山も頑固に言い張る。侍と瞳と瞳がぶつかりあう。
ふと侍の方に笑みが走った。

「北町奉行所与力 青山久蔵、わかっておる。しかと、伝える。いや、そう言っても納得しないだろうな・・。そちの気持ち、しかと受け止めた」

青山がはっとした。

「何も言うな」
侍がまたにこやかに笑った。
青山はその侍に向かって深く、頭を下げた

「行くぜぃ」
青山は、きびすを返す。

八兵衛は振り返って大声を出した
「あのお名前は・・・お名前だけでも聞かせてください」






「俺は・・・天下の風来坊・・・・・徳田新之助だ」

その侍はそう言って、微笑んだ。

「ねえ、ねえ、どういうこと?ねえ、どういうことよぉ~~」
「いいから、帰るんです」
源吾の叫びを、孫右衛門が軽くなだめる。
七人は門の外へと歩き出した。

                 ~終わり~






※この話も、吉宗の時代とは違うので、ありえない話なんですけどね。

生存編2八丁堀の七人

千代田のお城の奥の奥1

隠密同心編


七人は門の中へと入った。

八兵衛は聞く。
「青山様、それで、ここに入ったはいいんですが、ご存知なんですか?上様のいる場所」
「知りゃぁしねえよ、ただ、千代田のお城の奥の奥にいると思っただけでィ」
「えーーーーーーー!」
「ど、どういうことですか?あんなに格好つけて出てきたのに!」
孫右衛門と磯貝が不満をもらす。
「まぁ、そう言うなって、そのうち迎えが来るとは思うがナ」
「そもそも何で門が開いたんでしょうか?私は、実はまさか開くとは思ってもみなかったんです」
八兵衛は素朴な疑問をぶつけた。
「ま、あせるナって、ほら見ねェ。その答えが、来たようだな」
青山画が指差す先に、家臣たちが歩いてくるのが見える。

「北山奉行所与力青山久蔵と、同心六名、こちらに」
七人は、奥へと案内された。
一郎太と兵助は緊張しながらも、城の奥へと案内されて、顔が高潮している。
「すげえ、こんなの見たことない」
「ああ、そうだな」
磯貝は、何やら触って、それを落として壊してしまったようだ。
あわてて、元に戻して、しらんぷりしている。

七人は、一室に案内された。
「上様の御前である。しかるべき物に着替えるように」
着替えにあたふたしながらも、七人はそれなりの格好になった。
「ひょっとしたら、白装束かと思ってたがな」
磯貝が言うが、その顔はどことなくにやけている。
「私なんて、生きた心地しませんでした。てっきり、その場でお手内になると思ってましたから」
と、孫右衛門。
「こんないい衣装を着られるだなんて、ほんと思ってもみなかった」
と、源吾。
「最初で最期ってこったな。ま、明日には良くて白装束。ま、悪くて川原に首が転がっているさ。今のうちに喜んでおくこった」

青山の言葉に、うかれていた者たちは萎れた。

「用意はできたか、刻限だ。入れ」


目の前に上様がいる。平伏しながら、八兵衛は、脂汗が出て、鼓動が早くなってきた。手も震えている。ふと横を見るが、青山は汗すらかいていない。
(まったく、心の臓に毛が生えるにしても、生えすぎですよ。青山様は!)
八兵衛はそう思ったら、ふっと肩の力が抜けた。
「苦しゅうない。面を上げい」
あれが将軍が……自分が将軍様に面会できるとは……
八兵衛は、到底、現実のこととは思えなかった。
「何事だ。この真夜中に。北町の町方ふぜいが、何用じゃ」
青山は懐から訴状を取り出した。家臣が取り次ぎ、将軍に手渡った。
「死罪と知った上での直訴か?」
「はい」
青山が、じっと将軍を見据えて言う。
将軍派、訴状を読み、立ち上がった。
「あいわかった。戸田若狭守の処遇、追って沙汰いたす。そなたたちの処遇も、明日には出る。即刻立ち去るが良い」

「戸田若狭守様の処遇、今、この場で、聞いて帰りたく存じます」
青山が口を開いた。
「青山、口が過ぎるぞ。上様の御前で何を申すか、さぁ、立て!」

「私とこの6人の命など、もうないものと思うております。」
「ほほう。ならば、この場で早速、そちの首、もらいうけよう」
将軍はおもむろに刀を抜き、青山に切先を向ける。
「しかし!」
青山の声がひときわ高くなった。

「例え、この場で、屍になろうとも、この私利私欲の悪行三昧への結末、聞いておかねば、この魂、この場を動くわけにはまいりませぬ!」

「何が、なにゆえそこまでして……」

八兵衛が思い切って口を開く。
「ただ、江戸の町の民のため、つつましく暮らす民のため、この悪行を正すことができるのは、上様一人にございます。どうか、お聞き届け下さい」
「お願いします」
口々にお願いしますの声が響く。
「扱いにくい奴らと聞いてはいたが、これほどまでとは。わかった。魂がこの場に残るかどうか、試してみるのも面白いな」

刃が降り上げられた。

八兵衛が、はっとして、口を開いた。
「上様は、ひょっとして一連の火付け事件の一部始終を、ご存知だったのではありませんか?正直私は門が開くとは思いませんでした。知っておられたからこそ、私たちのようなものを、この場にお招きくだされたのではありませんか?」

ふと、将軍の口元がゆるんだ。
「ふっ、賢い部下を持ったものだな、青山。若狭守には切腹の沙汰を下す。そして、そなたたちは……」

「黙ってこの首、差し出す所存」
青山が即答する。
「いや、首などいらぬ。命のすべてを差し出してもらう。青山久蔵以下、八丁堀同心六名、今宵、この場から、この家慶の直々の配下とする」

青山と八兵衛以外は、ぱっと顔を輝かせる。

八兵衛は、つぶやく。
「死して屍拾うものなし」

「そういうことだ。そなたたちには、今宵から隠密同心の任務を与える。そなたたちはこの場で死んだ。八丁堀同心としての身分はたった今、消えたのだ」

「すべてを捨てる覚悟はできておりまする。過去など必要ありませぬ」
その声にはっとする5人。
「青山、鋭いな。しかし、それは死よりも残酷かもしれぬぞ」
「生きながらにして、死ぬことなど、たやすいこと」
「言うたな、青山、しっかり励めよ!」

平伏する七人の前から将軍は去っていった。

第1回終わり
-------------------------------------

次回予告

隠密同心となった七人。江戸城内でお手内となり、死んだことにされた七人は、過去を捨て去るのは死ぬことよりも辛いことを痛感する。

かげながら、弥生のことを案じる八兵衛。八兵衛の影を追い求める弥生。
二人が再会する日は、もう永遠にこないのか……

千代田のお城の奥の奥1

生存編3 八丁堀の七人

千代田のお城の奥の奥

青山様と上様双子の兄弟編



門は開いた。

七人は、上様の前で平伏していた。
「苦しゅうない、皆のもの面をあげぃ」

その声になぜか聞き覚えのある感覚に襲われながらも、おそるおそる顔をあげる七人だったが、源吾と磯貝が絶叫した。

「そ、その声、そのお顔!」
「えーーー、青山様、青山様が二人」
兵助と一郎太は、二人をとりなそうとするが、手だけが宙を舞う。
その口が開いたまま、上様の顔に見入る。

八兵衛も絶句したまま、上様と青山の顔を見比べ、一言小さな声でつぶやいた。
「そっくりだ」


ただ一人、青山だけが冷静だった。

「北町奉行所与力、青山久蔵にございます。上様におかれましては、此度の事件のことで」

「久蔵、みなまで言うな。直訴は死罪。そなたの言うことは聞かぬ」

「いいえ、言わせていただきます」

「黙れ、久蔵。余は、そなたとそなたの部下を死なせたくないのだ。それに、もう、余は知っておる。今宵のことは、余とあったことは、すべてて忘れるのだ!しかし、余は、江戸の町を好き勝手にはさせん」

青山は憮然とした顔で上様をみつめていたが、最後の言葉にしっかりとうなづいた。

上様は、なぜか、笑みを浮かべた。

「久蔵、この間の、そなたとの入れ替わり、まことに楽しかった」

「い、入れ替わり~~」

今度は、青山以外の全員が絶叫した。
「い、いつ、どこでぇ~~~」
磯貝は、また素っ頓狂な声をあげ、気を失って倒れた。

上様はそれだけ言うと部屋を出ていった。七人たちは、狐につままれたように、城を後にした。もちろん、気絶した磯貝を背負って。




八兵衛は、いつものように、青山の隣で話ながら帰路についた。

「今、わかりました。なぜ、青山様が、数々の危機を乗り越えてきたのかが。上様の後ろ立てがあったんですね。それにしても、そっくりだ。青山さま、上様とは一体、どんな関係」

青山は八兵衛の言葉をさえぎった。

「さぁな。他人の空似だぁ」
「それにしても、若年寄の戸田様は、上様のおそば近くにいながら、青山様と似ていることに気がつかなかったのでしょうか?」
「俺の顔なんざ、よくある顔だぁ」
「え?そうですか?そのでっかい顔と、でかい体、そうそう、あるもんじゃないですよ!」
「そんなことより、八、おめぇには、まだ、大ぇ事な、仕事が残ってんじゃないのかい?」
「仕事?」
「弥生堂だよ」
「や、やよいさん……」

八兵衛の脳裏には、「これは、仏田弥生になるための三々九度ですからね」と涙でうるんだ目でみつめた弥生の顔が浮かんだ。
「あ、青山様、し、失礼します」




八兵衛は、走りに走った。そして、倒れる込むように屋敷に駆け込んだ。

「は、八兵衛さん、ぶ、無事だったの?い、いえ、そんなことはないわよね。お沙汰はいつ下るの?……」

「弥生さん、無事だよ。う、上様には、あ、会えなかったんだ」
八兵衛は、言葉を濁した。

「それより、弥生さん!、いまさっき言った言葉を撤回してくれ!」
「ええ?何?まさか仏田弥生になるって言葉を撤回してくれってこと?」
「ああ、そうだ」
「え?そ、そんなやっぱり、私じゃだめなんだ」
「いや、違うんだ」
「ああ、そうだとか、違うとか、なんなのよー」
弥生はむくれた。

「違うんだ。男の俺から言いたいんだ。言うよ。この間、火事のときにいえなかった言葉を言うよ」

「八兵衛さん……」
弥生は、また、うるんだ瞳で八兵衛をみつめた。

「弥生さん、俺と、いえ、私と所帯をもってくれ!私と一緒になってくれ!仏田弥生になってくれ!」

「八兵衛さん、うれしい」
弥生は、八兵衛に抱きついた。

「俺が、先に言いたかったんだ。弥生さんの女の口から言わせてすまない」
八兵衛が、弥生を抱きしめながらつぶやいた。

弥生は、八兵衛の腕を離した。
「え?それって、何?女が先に言っちゃいけないってこと?それって、変だわ。男とか、女とかは関係ないと思うけど。ひどいわ、八兵衛さん!夫婦になるのは、やっぱり考え直した方がいいかしらね」

「や、弥生さん!」
八兵衛は、おろおろしながら、腹を立てた弥生をなだめようとした。


「あっら~~、もう、夫婦ケンカ~~」

そういいながら、源吾が顔を覗かせた。
一郎太も顔をにやつかせている。
兵助は、ちょっとむくれながら見つめている。

磯貝はお袖までを一緒つれて覗きに来ていた。
「八兵衛、祝言の日にちは、早く決めてくれよ。なにぶん、物入りで金がねえんだ。祝儀の用意しなくちゃならねえからな」
「まぁた~、そんなけちなこと言っちゃってぇ~」
源吾が茶化す。


青山は、酒瓶を片手に、月を見ていた。
「さぁて、月見酒、月見酒と……」


千代田のお城の奥の奥2終わり
プロフィール

ひらたま@でんぷん

Author:ひらたま@でんぷん
山口県在住 
女性(若くないです)
O型、蠍座
八丁堀の七人と、子連れ狼の大五郎が好き

最新記事
カテゴリ
リンク
Powered By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ
FC2 Blog Ranking

検索フォーム
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR